ふとしたときに子どもの片目がおかしな方向を向いている、これって気のせい? それ、もしかしたら「斜視」かもしれません。「斜視は早く治療を始めなければ子どもの将来に影響することも」と警鐘を鳴らすのは、眼科医のドクターK先生。放っておくと実は怖い、斜視について詳しく解説していただきました。
子どもの「斜視」…病気?それとも遺伝?治療法について眼科医が解説 ※画像はイメージです/PIXTA

子どもの斜視の治療について

目の位置のズレが軽い場合は、位置を正すための視能訓練を行います。視能訓練は医師の指導のもと「視能訓練士」と呼ばれる専門家が行います。目の位置のズレが強い場合はプリズムレンズを入れた矯正用眼鏡で調整をします。ただし視能訓練もプリズム眼鏡も対症療法的なものなので、斜視を完全に治すためは手術をする必要があります。

 

斜視そのものは手術で短期間で治すことができますが、斜視に伴って視力や両眼視機能が低下している場合は治療の期間が長くなります。治療は早ければ早いほど短い期間で済みますので、気になったら早めに検査に行きましょう。検査は小児斜視を診ている眼科か、スポットビジョンスクリーナーという検査機器を置いている小児科でも行えます。

 

斜視のように見える「斜視もどき」とは?

乳幼児に多く、一見すると斜視のように見えるものに「偽内斜視」があります。生まれたばかりの子どもは、目と目の間の皮膚が内側の白目部分を覆ってしまっていることがあり、それによって寄り目のように見えることがあります。この皮膚をちょっとどかしてみると黒目は正常な位置にあることも多く、その場合は偽内斜視ですから基本的に治療は要りません。

 

子どものスマホ内斜視が増えている!

最近はスマートフォンが原因の内斜視が増えているといわれています。スマホを見るときはどうしても寄り目がちになりますよね。外刺激に左右されやすい幼い子どもほど、この状態を長く続ければ目が寄ったまま固まってしまいます。スマホに限らず本も同様ですが、要するに物を近くで見て、長時間寄り目になったままの状態が良くありません。

 

スマホや本を見るなら30分に一度は1、2分の休憩を挟んで、遠くを見たり目を閉じたり何も見ない時間を作ることをおすすめします。また寝転んで見るとさらに距離が近づきますので姿勢にも注意してください。斜視は生活によってはどんな子どもでもなり得る病気ですし、大人も例外ではありません。

 

子どもの斜視の診断と治療はできるだけお早めに

斜視になると立体視が難しくなりますので、お子さんによってはボール遊びやスポーツも難しくなることがあります。また将来的には自動車の運転免許が取れなかったり、視力が必要な職業に就けないなどの制限が出てしまう場合もあります。

 

早めに治療を始めれば将来も問題なく過ごすことができます。少しでも目の位置のズレが気になったり、3歳児検診などで指摘を受けたら早めに眼科にかかりましょう。

 

【話を伺ったのは】

ドクターK@眼科医パパ/眼科医

群馬県高崎市出身。眼科医として勤務しながら気になる目の症状についての解説や、目の健康に役立つ情報を発信している。子どもを近視から守る会運営。2児のパパ。