初任給が30万円超えという驚きのニュースが聞こえてくる昨今。初任給は20万円前後とされていた時代の人間からすると羨ましい限りです。特に大学を卒業してもまともに就職さえできなかった人も多い「氷河期世代」にとっては夢物語。今なお「大した給与アップを経験したことがない」という人たちも大勢います。何ともかわいそうな世代を生んだつけが、あと15年ほどで訪れようとしています。
氷河期世代、さらなる冷遇で終了…あと15年で日本人が直面する「恐ろしい悲劇」 (※写真はイメージです/PIXTA)

初任給30万円超えも賃上げの波に乗れない「氷河期世代」

昨今、頻繁に聞く初任給引き上げの話題。インパクトが大きなものをいくつかピックアップすると、ファーストリテイリングは2025年3月以降に入社する新卒社員の初任給は33万円にする予定です。カプコンは2025年4月入社の初任給を28%引き上げ30万円にします。大和ハウス工業は2025年4月入社予定の新卒社員の初任給を月額25万円から月額35万円に引き上げます。大成建設は大卒初任給を前年度から2万円引き上げ30万円とする方針です。

 

大手企業は競うように「うちは初任給を引き上げます」と宣言していますが、同時にベースアップも発表しています。ただ基本給をあげられるのは一部の企業に限られ、日本全体が給与アップの流れにはなっているかといえば、そうはいいきれない状況です。

 

特に初任給アップで浮かれ気味のなか、置いてけぼり感が否めないのが氷河期世代を中心とした中高年層。厚生労働省『賃金構造基本統計調査』によりますと、昨年(速報値)とコロナ禍前の2019年の一般労働者の所定内給与を比較すると、平均額は月33万200円で、5年で2万4200円と7.9%増加しました。

 

一方、年代別でみていくと、明暗がくっきり。20代は1割程度増加していますが、年齢とともに増加率は低下し、50代前半では1%台にまで凹みます。

 

【年代別・2024年と2019年の給与比較】

20~24歳:232,400 円/210,900 円(110.2%)

25~29歳:267,100 円/243,900 円(109.5%)

30~34歳:299,400 円/275,900 円(108.5%)

35~39歳:328,600 円/305,300 円(107.6%)

40~44歳:351,300 円/329,600 円(106.6%)

45~49歳:372,500 円/350,300 円(106.3%)

50~54歳:380,000 円/373,500 円(101.7%)

55~59歳:391,000 円/367,100 円(106.5%)

60~64歳:317,700 円/283,000 円(112.3%)

※数値左より、一般労働者の2024年所定内給与額/2019年所定内給与額(増加率)

 

人材獲得競争が激しい若年層は給与をあげざるを得ない。一方、中高年は人材流出リスクが小さく、給与の引き上げは後回し。「大した給与アップを経験したことがない」という人が多いのも、氷河期世代の特徴です。