Cランク・・・処分・整理すべき不動産

前回までの順位付けから判断すると、処分・整理すべき不動産は、基本的には収益を生み出さない、持っていると固定資産税が出ていくだけの「お荷物」になりそうなもの、ということになります。

これらの不動産は、処分・整理の対象となります。したがって、さらに細分化して棚卸をしておく必要があります。

ただし、不動産にはそれぞれのご家庭の歴史が集約されていることが多いものです。収益性があるかないかという、合理的な視点だけで判断できるものではありません。お客様のご意向と、私たち専門家の客観的な意見をすり合わせて、納得のいく方法を模索することが求められます。

収益性の低い貸宅地は基本的に処分対象だが・・・

では、客観的な目で見た場合、Cランクとされる土地（処分・整理すべき土地）にはどんなものがあるか順番にご説明していきましょう。

①収益性の低い貸宅地

繰り返しお話ししているように、貸宅地にはいろいろな権利がついていて、地主さんが自由に使えなくなっているものが多く見受けられます。そのように自分の自由にならない権利がたくさんついた土地を、相続の際に処分するというのは妥当な選択と言えるでしょう。

ただ、地主さんの中には「貸宅地からは地代収入が上がってくるから手放したくない」という人が多いのも事実です。もちろんしっかりと収益が上がっていればいいのですが、実はよく計算してみると収支が大したプラスになっていない場合が多いのです。

場合によっては、先代の相続税の額が高額で、それを回収するのに次の代で30年かかるということもあります。「先祖から受け継いだ土地だから」「一応、地代が入ってくるから」というだけの理由で、収支計算をしないまま貸し続けていると、次の相続でついに納税資金が準備できなくなってしまった、ということにもなりかねません。

たとえ毎月地代収入が上がっていたとしても、土地を所有している以上、固定資産税というコストもかかります。ですから、専門家に長期的な視点から損益分岐点を出してもらうなど、客観的な意見を聞いて、その土地を持ち続ける価値があるのかどうか、冷静に判断していくことが必要です。

ただし先代のときからの貸宅地だと、損益だけでははかれないものもあるのが、不動産の面白いところでもあります。たとえば貸している人たちがとてもいい人たちで、おじいちゃんの代からずっと親しく付き合っているなどといったケースでは、大して収益にはならないかもしれないけれど、「この人たちにはぜひここで安心して暮らしてもらいたい」という感情が地主さんの側にもあるかもしれません。それはそれで素晴らしいことだと思いますし、一種の社会貢献とも言える行為です。

ところが、貸している相手が口うるさくて文句ばかり言ってくるような人で、しょっちゅうその人との間でいざこざが絶えないとなると、たとえ多少の収益は上がっていたとしてもこれはもう不動産トラブル以外の何物でもなくなってしまいます。そのような貸宅地は、処分の対象にするのが賢明でしょう。

②土壌汚染地

最近では基準が厳しくなったのですが、昔は基準がほとんどないに等しく、ある意味野放し状態でしたから、工場として貸していた土地の中にはひどく土壌が汚染されている土地があります。化学工場などはもちろんのこと、意外に思われるかもしれませんが、クリーニング工場の跡地などにもかなりの汚染が見られます。大量に石油系の薬品を使うので、汚染が激しいのです。

特に、かつて工場として貸していた土地は、まず処分の対象として検討しましょう。ただし、土壌汚染の疑いがある土地に関しては、売却したいと思っても買い手が詳細な調査や対策を要求してくることもありますので、そのような状況も踏まえて総合的な検討が必要になります。