収入アップをめざすサラリーマンにとって、いまの勤め先で実績を積み重ね、ポジションを上げていく=出世することは正攻法ともいえる戦略です。とはいえ、たとえば同じ「部長職」に就いたとしても、高卒と大卒では給与には大きな差が。最近、「学歴は関係ない」といった風潮は強まっているものの、あくまで平均値をみる限りは入社時点で勝敗が決まっているというのが、日本の現実なのかもしれません。詳しくみていきましょう。
MAX年収「684万円」だったが…10代から汗水垂らし続けた“高卒”部長、大卒エリートとの〈生涯続く格差〉に肩を落とす (※写真はイメージです/PIXTA)

「順調に出世した人」と「定年まで平社員だった人」…生涯賃金の差は?

サラリーマンが収入アップを実現するには、副業・兼業に励んだり転職に挑戦したりと、方法はさまざまですが、もっとも確度が高い方法は、社内で実績を挙げ、ポジションを上げていく=出世することかもしれません。実際、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』の統計をみても、役職ごとの平均給与の差は明らかです。

 

男性・大卒のサラリーマンでみていくと、非役職者(産業計・平均年齢38.7歳)の平均給与(所定内給与額)は月32万9,700円。賞与などを含めた年収は推定543万円です。

 

同じ大卒男性でも、係長(平均年齢43.7歳)に昇進すると月収は39万200円、推定年収は推定669万円。月6万円強、年120万円強の給与アップです。また課長(平均年齢48.1歳)になると、月収52万5,500円で推定年収は858万円。部長(平均年齢52.7歳)ともなると、月収は63万5,700円、推定年収は1,000万円に達します。

 

同じ「部長職」でも、従業員数99人以下の中小企業では推定年収756万円であるのに対し、従業員数1,000人以上の大企業では同1,269万円ですから、企業規模による差が存在することは事実です。ただ、あくまで従業員数10人以上の企業の平均値をみるかぎり、40歳前・非役職者から50代前半・部長へとステップアップすることで、年収が約2倍増になっているのです。

 

それでは、平均的なスピードで係長→課長→部長へと昇進していったサラリーマンと、非役職者=平社員のまま定年を迎えたサラリーマンでは、生涯の収入にどれほどの差が生じるのでしょうか。

 

まずは、順調に出世競争を勝ち抜いた大卒サラリーマンの場合。43歳で係長、48歳で課長、52歳で部長になったとすると、生涯賃金はおよそ2億4,000万円。一方の生涯平社員は20代前半の月23万5,200円から50代後半の月42万4,100円まで給与は年齢とともに順調に増えるものの、60歳の定年退職までの生涯賃金はおよそ2億円。

 

大学卒業後の22歳から定年を迎える60歳までのサラリーマン人生を通じ、4,000万円ほどの差がつくようです。決して小さな差ではありませんが、実際に役職に就いている会社員からすると、負っている責任の重さから鑑みて「たったそれだけ」と思ってしまうかもしれません。