“勝ち組”の会社員であっても、昨今の晩婚化・住宅購入年齢の高齢化によって、現役時代には老後に向けた資産形成が思うように進まない人も多いようです。そこで、多くのサラリーマンが期待をかけるのが「退職金」。しかし、これを頼りに老後の生活を組み立てるのは危険かも知れません。詳しくみていきましょう。
退職金2,000万円出るから大丈夫…年収769万円・大企業サラリーマンの慢心が招く、“悠々自適”とは程遠い老後 (※写真はイメージです/PIXTA)

同じ大卒なのに…業種・企業規模による給与格差

同じ「大卒会社員」なのに……。ひょんなことからほかの会社の給与水準を知って、そんなため息をついた経験のあるサラリーマンは多いのではないでしょうか。

 

たとえ同じ大学を卒業したとしても、就職先による給与差は歴然です。

 

日本標準産業分類に基づく16大産業別でみると、20代前半時点でもっとも月収が多い産業が「鉱業,採石業,砂利採取業」(25万2,200円)。一方でもっとも低いのが「複合サービス事業」(21万3,500円)。額面で月4万円、推定年収では120万円程度の給与差が生じています。

 

とはいえ、月4万円程度の差であれば、「昔から憧れていた仕事だし」と自分を納得させることもできそうです。ただ、そこから定年退職までの生涯賃金をみてみると、そうもいっていられなくなるかもしれません。

 

業種別にみると、もっとも生涯賃金が高いのは「金融業、保険業」(3億5,000万円)。ほかに大卒サラリーマンの生涯賃金の平均値である2億5,000万円を超えた業種は「鉱業、採石業、砂利採取業」や「学術研究、専門・技術サービス業」など全9業種でした。一方で、生涯賃金がもっとも低いのは「宿泊業、飲食サービス業」(1億9,000万円)。トップの「金融業、保険業」との差は1億5,000万円以上に上ります。

 

さらに見逃せないのが、企業規模による給与差。従業員1,000人以上規模の大企業の場合、平均月収は44万3,800円、推定年収は769万円(平均年齢41.9歳)であるのに対し、従業員10~99人規模の中小企業の場合、平均月収は35万1,500円、推定年収は531万2,800円(平均年齢43.6歳)。

 

大企業と中小企業では、生涯賃金に8,000万円の差が生じることになります。

 

【年齢別・大卒男性会社員「大企業と中小企業の年収推移」】

「20~24歳」 369万9,800円/318万5,400円

「25~29歳」 519万2,600円/389万8,700円

「30~34歳」 630万5,000円/459万2,000円

「35~39歳」 756万5,300円/516万1,000円

「40~44歳」 809万1,600円/571万9,000円

「45~49歳」 901万7,200円/598万4,500円

「50~54歳」 988万700円/628万4,700円

「55~59歳」 975万700円/651万6,000円

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より算出