認知症の妻に続き、亭主関白の78歳夫も「老人ホームに入居」も「ここから出たい!」と家族に訴えたワケ

認知症の妻に続き、亭主関白の78歳夫も「老人ホームに入居」も「ここから出たい!」と家族に訴えたワケ
※画像はイメージです/PIXTA

昭和の男を代表するような亭主関白だった78歳の植木進さん(仮名)。身の回りのことはすべて妻任せ、自分の介護も当然妻がするものと決めつけていたのですが、ある日、妻が認知症を発症し老人ホームに入居。残された植木さんも長女の勧めで老人ホームに入居することになりました。しかししばらく経ってから「退去したい」と訴えるようになったそうです。植木さんの身に何が起こったのでしょうか?

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一度も想像していなかった老人ホームへの入居に愕然

奥様の入所から数週間が経ち、少しずつ自分で生活することを覚えようと努力していた矢先、長女の夫に転勤の辞令が出ました。かなりの遠方ですが、家族が離れて暮らすのは嫌だという夫の方針で、長女も一緒に引っ越すことが決まりました。

 

問題となるのは植木さんです。頑固で昔気質の植木さんが、長女の夫と相性が悪いのは植木さん自身も理解していました。長女から「お父さんも老人ホームに入ってほしい」と嘆願され「そうするしかないな」と答えざるを得なかったのです。これまで一度たりとも、自分が老人ホームに入居するなど想像したことのなかったというのに。

見学もせず、近所の老人ホームに決めた

長女の引っ越しまでは1ヵ月を切っています。長女が自宅からいちばん近い老人ホームに問い合わせしてみたところ、偶然にも一室空きがありました。長女に見学に行くかと聞かれましたが、「そこでいいよ」と即答してしまった植木さん。何しろ、老人ホームがどういうところかを知らなかったのです。

 

長女の引っ越しの数日前に、植木さんは老人ホームに転居しました。8畳ほどの部屋にテレビと簡易冷蔵庫、テーブルと椅子が設置されています。内装はシックなベージュでまとめられていますが、植木さんには病室のように感じられました。「俺はこの部屋に閉じ込められて残りの人生を過ごさなければならない」と、悲観する日々が始まったのです。

「老人ホームはどこも同じ!」ではないことを知っておく

公認会計士をしていた植木さんはお金には困っていませんでした。資産もそれなりにあり、冷静に時間をかけて選べば住み心地の良い老人ホームを見つけることができたはずです。しかし、事前知識のまったくない植木さんは「老人ホームはどこも同じ」という感覚しか持ち合わせていませんでした。

 

しばらくして老人ホームから植木さんに認知症の症状が現れていると、長女に連絡が入りました。時間をやりくりして長女が面会に訪れると、植木さんは「ここから出たい」と訴えたそうです。現在、認知症の症状がひどくなる前に植木さんの望む暮らしができるホームに転居できないか、老人ホーム選びのプロに相談しているところです。

 

どんなに急な事情であっても、見学せずに老人ホームを決めるのはリスクが高すぎます。そして何より、後期高齢者になったら「いつ何が起きるかわからない」と自覚し、老人ホームの予備知識はつけておくのが正解です。

 

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本連載は、株式会社パセリが運営する「MY介護の広場 老人ホームを探す『高級老人ホーム特集』」内の記事を転載・再編集したものです。

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