東京圏・名古屋圏・大阪圏の平均で、5,000万円を超える新築マンション。平均的な稼ぎのサラリーマンが、新築の物件を手に入れるハードルは年々高まっています。消去法的に「中古マンション」を視野に入れるケースもあるでしょうが、中古物件を購入する際は、とくに気を付けなければならない点も。詳しくみていきましょう。
「予算3,700万円」でマイホームを探す30代会社員…“お手頃”中古マンション購入も、見落としていた〈想定外のコスト〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

三大都市圏の平均でも5,000万円超…新築は諦め、中古物件を購入する場合の注意点

平均的な給与額・貯蓄額から鑑みると、30代前半で1,200万円もの資金を用意するのはかなりハードルが高そうです。

 

仮に、先ほどの5,000万円のマンションを自己資金ゼロで購入した場合、上と同条件のローンでは利息分が385万3,934円となり、返済額は月14万9,594円・年間179万5,128円に上ります。年収が平均的な水準と同じ538万円だったとすると返済負担率は約33%と、かなりの負担感を伴うプランだといえます。

 

それでも、理想的な物件に出会ってしまい「買い時を逃す訳にはいかない」と、頭金ナシで購入に踏み切るケースも少なくないようです。実際、マンション購入者の1割程度は全額ローンでの購入だとする調査もあります。

 

それでは、上にみた年収538万円の30代サラリーマンが、頭金なし・全額ローンでマンションを購入するとしたら、どれくらいの価格の物件が上限になるのでしょうか。無理のない返済負担率という観点から考えると、30年間の返済総額は3,228万~4,036万円。利息に相当する分を引くと物件価格の上限は3,700万円程度になりそうです。

 

直近では、資材価格の高騰や建築現場の人手不足等の影響からマンションの価格は高騰しており、東京圏・大阪圏・名古屋圏の3大都市圏の平均で5,000万円を超えています。

 

そんな状況下、物件価格を3,700万円に収めようとすれば、新築は諦めるしかないのかもしれません。中古であれば、フルローンであっても無理なく購入できそうですが、中古マンションには「想定外のコスト」が発生し得ることを覚悟しておく必要があります。

 

そうしたコストの筆頭に挙げられるのが「修繕費用の一括徴収」。一般的なマンションは10~15年に一度に頻度で大規模修繕を行いますが、修繕には数千万円の費用がかかることも珍しくありません。多くの場合は「長期修繕計画」で修繕積立金の額が決められ、住民がこれを毎月拠出することになっていますが、もし計画通りに資金が積み立てられていなかった場合、管理組合の総会決議を経て修繕費用の一括請求がなされることがあります。

 

その金額は、数十万~数百万円に上ることも。ローン返済でギリギリの家計にとって、この突発的な出費は大打撃です。中古マンションを購入する際は、物件価格やローン返済額以外にも、長期修繕計画に修繕金の積み立て状況、過去の修繕実績等にも意識を向けなければならないのです。

 

加えて、どんな物件でも築年数を重ねるほど資産価値が下がっていくことを忘れてはなりません。築20年以上が経過すると、資産価格の下落スピードが低下するという意見もありますが、これは適切な修繕がなされてきた場合に限られます。

 

頭金ナシの住宅ローン審査をパスできるようなマンションなら、適切に管理され、担保価値もたしかだといえそうですが、将来的に売却も視野に入れている場合はとくに、販売価格やローン返済額に加え、マンションの修繕・管理状態にまで細かく気を配る必要がありそうです。