就職後、多くの人は40年近く会社人として頑張り、そして定年を迎えます。「老後はふたりで……」と定年後の生活に思いを馳せる夫婦も多いでしょう。しかし虎視眈々と離婚を切り出そうとしている人も珍しくないようです。みていきましょう。
月収37万円・42歳〈東京サラリーマン〉北海道移住に憧れも「都会に留まるしか」と観念…〈地方サラリーマン〉唖然の給与事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

地方移住…給与は下がるが「物価は安い」は本当か?

ーー北海道に移住してゆったりとした暮らしを手に入れる

 

確かに理想であるものの、実際はどうなのでしょうか。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、東京の企業で働く人(平均年齢42.6歳)たちの平均給与は月収で37.5万円、年収で598.9万円。手取りにしたら、独身で月28万円ほどです。一方で北海道の企業で働く人たち(平均年齢45.5歳)の平均給与は月収で29.0万円、年収で414.6万円。手取りにすると、月22.2万円ほど。東京と憧れNO.1の北海道では、月収では月8万円以上、年収では180万円以上もの差が生じています。

 

ーー地方は給与が安くても、物価も安くていいよね

 

本当にそうなのでしょうか。総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、1ヵ月の消費支出額は全国平均32万0,627円。「東京都23区」では35万1,136円、「札幌市」で30万0,722円、「北海道地方」で31万7,849円でした。東京と地方、支出額は給与の手取りほどの差はない、というのが現実です。

 

ライフスタイルによりますが、統計上、東京と地方では、給与差ほど物価の違いは見られません。「地方は物価が安いから生活はラク」というのは、ちょっと違うのかもしれません。東京から地方への移住、給与は減るし、生活費もいうほど安くない……この現実に思わず唖然としてしまう人も多いのでは。

 

ーーそれでも地方に移住しますか?

 

前出の若者への調査で、自分にとっての「良い仕事」の条件について尋ねると、最も多いのが「収入が高い」で53.3%。「楽しさ・やりがいを感じる」47.9%、「働きやすい」46.2%と続きます。そして 「良い仕事をするために都市圏に住んだほうがよいと思うか」と尋ねたところ、「都市圏に住んだほうがよい」が57.5%と、過半数を超えました。結局、「良い仕事」=「収入が高い仕事」をするには、都会が一番いい……これが現実です。

 

ちなみに北海道出身だというサラリーマンいわく、「雪がないだけ、東京のほうが住みやすい」のだとか。色々な価値観があるので一概にいえませんが、都会暮らしには都会暮らしの良いところも。ちょっと長めの有給でも使って地方暮らしを体験したら、意外とすぐに日常が恋しくなって「やっぱり都会が一番だね」と戻ってくるかもしれません。