就職後、多くの人は40年近く会社人として頑張り、そして定年を迎えます。「老後はふたりで……」と定年後の生活に思いを馳せる夫婦も多いでしょう。しかし虎視眈々と離婚を切り出そうとしている人も珍しくないようです。みていきましょう。
退職金2,000万円、年金夫婦で月23万円…余裕のある老後も50代妻「離婚したい!」と定年夫に〈三行半〉のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

お金の切れ目は縁の切れ目だが…

生命保険文化センター『2022年 生活保障に関する調査』によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える「最低日常生活費」は月額で平均23.2万円、「ゆとりある老後」を考えるなら平均37.9万円万円でした。

 

一方、65歳から受け取れる年金額は、厚生年金受給者で平均14万円。65歳以上に限ると、男性で17万円、女性で10万円です。もし「会社員+専業主婦」という夫婦であれば、月23万円程度、手取りにして20万円程度の年金を手にすることになります。「最低限の日常生活」を考えるなら、月3.2万円、1年で38.4万円の不足。仮に老後を30年とすると、1,152万円の貯蓄はほしいところ。また「ゆとりある老後」を考えるなら、月17.9万円、1年で215万円の不足。老後30年で6,444万円の貯蓄が必要になります。

 

大企業で勤続35年以上であれば、平均退職金は2,000万円超。それを加味すれば、「最低限の日常生活費」は年金と退職金を合わせて何とかなりそう。「余裕のある老後」を考えるなら、4,500万円ほどの貯蓄は必要になります。

 

“最低”で考えるのか、それとも“ゆとり”を考えるのか、迷うところではありますが、きちんと将来に不安がないだけの資産を築くことができれば、熟年離婚のリスクはぐっと減らすことができそうです。

 

もちろん「お金」だけが離婚の原因とは限りません。昨今、熟年離婚は増加傾向。その背景にあるのが、「女性の社会進出が進み、自らが稼ぐようになったから」「年金制度が変わり、結婚期間中に夫が支払った保険料分の厚生年金を夫婦で分配できるようになったから」ということがあります。以前は「離婚すれば生活に困る」という経済的理由から離婚に踏み切れないケースが多くみられましたが、昨今はそのような懸念は少なくなり、離婚に踏み切りやすい環境になりました。

 

「きちんとコツコツ資産形成を進めているから、うちは大丈夫」と思っているなら、ちょっと危ないかもしれません。