以前は、通夜と告別式を行う「一般葬」が主流でしたが、コロナ禍以降、葬儀の多様化が進みました。海洋散骨も新たな選択肢のひとつ。家族の一部は納得して散骨を行うも、古いしきたりを重んじる親族からの理解が得られず、トラブルに発展するケースもあるようで……。本記事では、Aさん家族の事例とともに変化する弔いのかたちについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
「死んだ妹が可哀そうだ!」67歳年金暮らし母の終生の悲願〈海洋散骨〉をした38歳娘…理解を得られない親族が、船上で肉弾戦【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

コロナを機に変わった葬儀事情

新型コロナ以降、家族葬が増え、お葬式に出向くことは大きく減りました。では、昨今のお葬式にはどれくらいのお金をかけているのでしょうか。「終活」に関するさまざまなサービスを提供する株式会社鎌倉新書が運営する葬儀相談依頼サイト「いい葬儀」が「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」の調査結果を発表しています(2024年5月発表)
 

まず、葬儀の種類ですが、家族葬が50.0%と最も多く、次いで一般葬が30.1%、一日葬が10.2%、直葬・火葬式が9.6%の順となっています。また、葬儀にかける費用の平均は、図表のようになっており、平均で約118万5,000円(基本料金:75万7,000円、飲食費20万7,000円、返礼品費:22万円)です。
 

出所:【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)より筆者作成※1
[図表1]葬儀の種類別総額 出所:【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)より筆者作成

 

なお、葬儀費用はコロナ禍の前後で、大きく変化しています。葬儀にかける費用の推移をみてみると、
 

・2015年 184万円
・2017年 178万3,000円
・2020年 184万3,000円
・2022年 110万7,000円
・2024年 118万5,000円

 

アフターコロナの2024年は一般葬が4.2%増えたことで平均金額も上がってきましたが、多死社会に突入した日本では、火葬場の不足や人材不足などの影響により今後も葬儀費用は上がってくると考えられます。

 

最近では、地域によっては「火葬待ち」が問題となっており、場合によっては亡くなってから火葬まで8日以上もかかっているケースもあるようです。お住まいの地域での火葬場事情も事前に調べておきましょう。

 

葬儀代のことを考えて死亡保険に加入している人も多いでしょうが、上記を参考に保険の見直しをしてみるのもよいかもしれません。