病院が持ちこたえているのは「補助金」のおかげ
次に、1病院あたりの平均収支をみてみましょう。
[図表1]をみると、1病院あたりの収入(医業収益)は2022年1月時点で18億4,459万4,000円となっています。1病院あたりですから、この数字だけを見ると「稼いでる」と感じた人もいるかもしれません。
しかし、病院経営はみなさんが思っているよりも圧倒的にコストがかかります。医業にかかる支出は19億9,944万4,000円と、約20億円です。
つまり収支でみるとマイナス1億5,485万円となり、年間で1億5,000万円もの赤字を出していることがわかります。この赤字分は、新型コロナ感染症にともなう補助金などで、なんとか補っている状況です。
[図表2]は、2018年度~2021年度の医業損益を比較したものです。
図中右上の「経常利益」における赤字の割合を見てみると、赤字病院割合は 2018年度の46.4%から2021 年度では19.9%へと26.5ポイント減少し、大きな改善がみられます。しかし、これは政府によるコロナ関連の補助金あっての話です。
図中左下、コロナ関連の補助金を除いた経常利益をみると、赤字病院の割合は2020年度から大幅に増加していることがわかります。図中右下、100 床あたりの経常利益(水色)をみても、2020年度、2021年度で黒字となっているのは補助金のおかげです。
「新型コロナが流行したおかげで、病院は儲けてばかりいる」と心ないバッシングが寄せられますが、現実はその逆。病院は、「コロナに関する補助金がなければ、医業を保つことができない」状況に追い込まれています。