仕事をしていれば、多かれ少なかれ「ストレス」を感じるもの。しかし度が過ぎると、健康を害することになります。ストレスを感じるシーンは色々とありますが、いわゆるカスハラは解決が難しいもの。執拗なクレーム、理不尽な要求……モンスターと化した加害者は、どのような人なのでしょうか?
土下座を強要、3時間以上拘束、海に沈めてやると恫喝…「モンスタークレーマー」意外な正体 (※写真はイメージです/PIXTA)

執拗な要求をしてくる「モンスタークレーマー」はどんな人たちか?

ストレスの要因のうち、解決が難しいのが「顧客、取引先等からのクレーム」、いわゆる「カスハラ」です。被害者はどうしても弱い立場になりがちで、会社に状況を訴えたとしても「お客様だから上手くやって」などといわれるケースも珍しくありません。

 

企業の危機管理を総合的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワークによる『カスタマーハラスメント実態調査(2023年)』によると、直近1年間でカスハラを受けたことがあると回答したのは64.5%。その回数は「1~5回」が53.1%、「6回以上」が11.4%でした。

 

また法人顧客からのカスハラに限定すると、経験者は半数程度。その内容として最も多かったのが「値引きの強要」で16.5%。「サービスの強要」15.5%、「威圧的な言動」15.2%「執拗な言動」13.2%、「責任がないにも関わらず、商品の交換や金品を要求」が12.6%と続きます。取引解除を恐れて不当な要求に応じてしまう……ビジネスではよくあることです。

 

実際のカスハラの事例をみていくと、常軌を逸したものも。ここまでくると、クレームではなく犯罪です。

 

●毎日、おまえら海に沈めてやるなどの電話が続き、手下らしき人から職場の前で見張られていた(サービス業)

●不当な欲求で2時間近く居座られた(製造業)

●店内で大声で喚き従業員に対して執拗に土下座を強要(サービス業)

●あなたみたいな中年の仕事ができない人は許せないと年齢による批判や、顔がふざけてる、真剣に謝ってないと対応を批判され、3時間以上拘束(金融・保険業)

 

東洋大学・桐生正幸教授が2020年に行ったインターネット調査では、悪質なクレームをつけた経験者は、「45〜59歳」「年収1,000万円台」「経営者・役員、自営業」が多かったとしています。前出の調査においても、カスハラの加害者は「40~60歳代」が80.1%、特に「50代」が多く、また性別でみれば「男性」が81.1%と圧倒的でした。

 

ビジネス上、最高ランクに位置する人たちが、モンスタークレーマーと化す意外な事実。「自分は偉いんだぞ!」と勘違いでもしてしまっているのでしょか。心当たりのある人は、一度、自身の言動を振り返ってほしいものです。