(※画像はイメージです/PIXTA)

「全国銀行資金決済ネットワーク」(全銀ネット)のデータ通信システムで10月10日朝から不具合が生じており、これにより三菱UFJ銀行、りそな銀行等の11行と商工中金で、他行あての振込と、他行からの振込の受付ができない状態が続いている。今回のようにシステムエラーにより決済ができなくなった場合、どのような法律問題が発生しうるのか。弁護士・荒川香遥氏(弁護士法人ダーウィン法律事務所代表)に聞いた。

◆銀行側に過失がなかった場合

まず、システム障害について銀行側に過失がなかった場合は、そもそも銀行側は損害賠償義務を負いません。

 

◆銀行側に過失があった場合

これに対し、システム障害について銀行側に過失があった場合はどうでしょうか。この場合、預金者側で、銀行・全銀協側の債務不履行と損害との間の因果関係の立証をしなければなりません。

 

すなわち、以下の因果関係を立証しなければならないのです。

 

「システムエラーによって目的物を購入できなかった」

「その後、目的物が値上がりした」

「もしその時に売っていたら、値上がり益を得られたはずだった」

 

なお、このように、債務不履行がなければ利益を得られるはずだったという損害を「消極損害」といいます。

 

しかし、この立証は、2つの点から困難です。

 

第一に、値上がりした時に確実に売って売却益を得たかということを立証するのは困難です。値上がりしたとしても、いつまで値上がりが続くか、どのタイミングで売却するのかは不確実だからです。

 

第二に、仮に、値上がりしたときに確実に売却したであろうということを立証できたとしても、銀行側の予見可能性を立証するのも困難です。個々の預金者がどのような意図をもって、どのような取引のために銀行振込を行っているのか、銀行側が認識することは事実上不可能に近いからです。

 

これらのことからすると、今回のようなケースでは、銀行・全銀協に過失がなかった場合はもちろん、仮に過失があった場合でも、現状では、損害賠償請求が認められるのは難しいといわざるを得ません。請求できるとしても、せいぜい、システム障害が長期化した場合の利息相当額程度に限られるということです。

 

現状においては、株式やFXも含め、投機性のある物を取引する場合には、システム障害があることを含め、不確実性がきわめて高いことを意識しておく必要があります。

 

 

荒川 香遥

弁護士法人ダーウィン法律事務所 代表

弁護士

 

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/23開催】
金融資産1億円以上の方のための
「本来あるべき資産運用」

 

【12/23開催】
タイ居住の国際弁護士が語る
「タイ移住」のリアルとメリット

 

【12/24開催】
高所得者・高収益法人が注目している
「ビジネスジェット投資」とは

 

【12/27-29開催】
「名義預金」vs「贈与」
“相続税の税務調査”で問題になるのは?

 

【12/27-29開催】
「相続」入門セミナー
相続人・被相続人双方が知っておくべき
具体的スケジュール・必要な手続き・今からできる事前準備

 

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録