マイホームを実現する人の平均年齢は40歳。しかし、念願叶って浮かれていると、30年後に恐ろしい事態に陥ることもあると、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏はいいます。本記事では、山口さん(仮名)の事例とともに計画的な住宅ローン返済計画の立て方について解説します。
やっと、マイホームを手に入れた…年収650万円の40歳・3児の父、喜びを噛みしめるも、70代で撃沈する「住宅ローン返済額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

いままでの家賃と同額でローンを組めば大丈夫?

中国地方に住む、30歳で2歳年下の女性と結婚した山口さん。

 

35歳のときに、2人目の子どもができたことや、それまで住んでいたアパートが手狭になったこともあり、賃貸マンションへ引っ越しをしました。奥さんは1人目の子どもの出産を機に仕事を辞め、専業主婦となり子育てに専念していました。このときの山口さんの年収は550万円、月の手取りは32万円で、35万円のボーナスを年2回。賃貸マンションの家賃は8万円、駐車場代に毎月4万円でした。

 

このタイミングで、住宅購入を一度検討しましたが、収入面や子どものことで今後お金がなにかと入り用になるという懸念から、結局断念することにしたのです。

 

そして40歳を目前に、3人目の子どもができたこともあり、やっぱりそろそろ自分の持家が欲しいと考え、物件を探し始めました。

 

今後見込まれる昇給や、現在の家賃で収支バランスを保てることがわかったことから、住宅ローンの返済額と家賃が同じくらいになる物件を探しました。家賃と駐車場の年間の支払いが144万円だったので、毎月の返済額も12万円までと考えましたが、それまでボーナスはすべてを使わずに半分以上を貯蓄にまわせていたので、ボーナス併用での住宅ローンを検討します。

 

少し高いとも思いましたが、6,000万円の物件があったので、返済計画などを試算してみました。当時の住宅ローンの金利が35年全期間固定金利で0.8%ととても低かったこともあり※1、5,000万円を借り入れ、1,000万円をボーナス払いで組んだ場合、毎月の返済額は10万9,224円、ボーナス払いが16万4,072円でした。

 

ボーナス払いが多くなってしまいましたが、毎月の返済額が現在の家賃と駐車場代よりも少なくなるので、その分をボーナス払いで補えると思い、この物件を購入することに。

 

「やっと念願のマイホームを手に入れました。これからは妻と子どもたちのために、ますます仕事を頑張ります」喜びを噛みしめる山口さんでした。