急速に進行する人口の高齢化に耐え切れずに年金制度が崩壊し、将来受け取れる年金が「ゼロ」になったとしたら……。想像するだけで恐ろしい事態ですが、無年金で平均寿命まで生きていくには一体どれほどの貯蓄が必要になのかシミュレーションしてみましょう。
恐ろしい…「もし年金制度が崩壊したら」、65歳・夫婦が“平均寿命”まで生きるのに必要な〈貯蓄額〉は?【シミュレーション】

年金が1円ももらえない「無年金者」…全国に50万人強

日本の公的年金は、20歳から60歳までの全国民が加入する国民年金と、会社員や公務員が入る厚生年金の2階建てで構成されています。自営業者は国民年金(老齢基礎年金)のみを、会社員や公務員は国民年金+厚生年金(老齢厚生年金)を受け取れます。制度上は、日本人であれば最低でも国民年金だけは手にできるはずです。

 

しかし、その国民年金すらも受け取れない人がいます。

 

原因の1つが払込期間の不足。「生活に困窮して意図的に保険料を納付しなかった」「そもそも払う意識がなかった」「海外生活が長かった」等の理由で払込料期間が10年(120ヵ月)未満の場合、受給資格を得られないのです。

 

厚生労働省の『令和4年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』によれば、無年金の人の数は全国に50万2,806人に達しています。

 

【年齢別無年金者数】

65~69歳:24,366人

70~74歳:26,958人

75~79歳:157,231人

80~84歳:119,741人

85~89歳:88,574人

90~94歳:52,387人

95~99歳:27,473人

100歳以上:6,076人

 

出所:厚生労働省『後期高齢者医療制度被保険者実態調査』(2022年度)

 

「年金を1円ももらえません」という無年金者の多くは、働けず生活に困窮していることが多いため、生活保護を受けることになります。

 

国は、年金受給に必要な保険料納付期間を25年→10年に短縮したり、「納付免除制度」などを整備したりして、無年金対策を行っています。現役世代であれば、60歳から70歳まで国民年金に任意で加入ができるので、もし加入期間10年の条件を満たしていようであれば、利用を検討してみてもいいかもしれません。