老後に不安を抱える「貯蓄なし、退職金なし」のおひとり様…老後は大丈夫?
ーー老後の備えはまったくしてない、でも退職金があるから大丈夫
そのように計画している人もいるでしょう。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の平均給与は月収で38.9万円、年収で579.8万円。定年を控えた59歳(50代後半)では、月収43.1万円、年収で701.6万円。会社員人生のなかで、給与は最高値に達しています。
定年退職金は平均月収(基本給)の40ヵ月分が平均値とされています。勤続年数40年というサラリーマンで平均的な給与を手にしていると仮定すると1,700万円程度の退職金がもらえる計算。おひとり様の老後の備えとしては十分な退職金といえるでしょう。
しかし実際に退職金がいくらもらえるかは、会社によって規定が異なるうえ、調査によってまちまちですが、10%前後の会社は退職金制度そのものがない、といわれています。
ーー定年直前なのに貯蓄はないし、退職金もありません……老後、生きていくのは無理ですか?
そんな絶望に打ちひしがれている、おひとり様のサラリーマン。このような状況で60歳で定年を迎えて仕事を辞めるのは現実的ではないので、65歳までは嘱託社員として働いた場合を考えてみましょう。20歳から65歳まで、サラリーマンの平均給与をずっと手にすると仮定します。
単純計算ですが、65歳から手にする厚生年金は月10.8万円ほど、国民年金と合わせると月17.4.万円を手にすることになります。手取りで月15万~16万円ほど手にすると考えられます。
一方、総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、65歳の単身高齢者の1ヵ月の支出は14万9,208円。40年間、平均的な給与を手にしてきたサラリーマンであれば、年金だけで収支はトントン。生活できなくもないといったところです。
ただあくまでも40年間、サラリーマン(正社員)として平均的な給与を手にしてきた、という前提のもしもの話。実際にそれだけの年金を手にできるかは不透明ですし、突発的に病気になったり、冠婚葬祭があったりなど、突発的な出費には対応できないという不安はつきまといます。
また単身者で賃貸の場合、住まいの問題も。高齢者、特に単身者は孤独死リスクが高いと「家を貸せません」というケースも珍しくなく、おひとり様の高齢者はお金だけじゃなく、住まいの心配もしなければなりません。
もし定年前で貯金もなく、退職金もない……と不安を抱えているなら、定年後も働くことは必須。そのなかで少しでも老後に向けて貯蓄をしていくしか、老後の不安から解放される術はありません。