将来、いくら年金がもらえるかは、老後の生活を考えるうえでも重要なこと。そこで活用したいのが「ねんきん定期便」です。しかし毎年、必ずチェックしたのにも関わらず、実際に手にした年金額をみて衝撃を受ける、というケースが後を絶たないといいます。みていきましょう。
年金月17万円…「ねんきん定期便」で完璧な老後設計の50代・大卒サラリーマン、65歳で受け取る〈本当の年金額〉に絶句「うっ、嘘だろ⁉」 (※写真はイメージです/PIXTA)

公的年金、理論上の最高額は?

では厚生年金、手にできる最高額はいくらになるのでしょうか。

 

厚生年金は会社員が加入するものですが、年齢の上限はありません。ただ「老齢の年金を受けられる加入期間を満たしておらず、70歳を過ぎても厚生年金保険の適用事業所に勤める場合」という条件つき。実質、70歳が厚生年金加入のマックスと考えていいでしょう。つまり最長、義務教育を終えた中学卒業後から70歳までが厚生年金の加入期間としては最長となります。

 

その間、常に標準報酬月額の上限である63万5,000円以上の給与を受け取り、年3回の賞与は毎回150万以上を受け取ることが、厚生年金の最高額を受け取る条件になります。

 

平均標準報酬額は、「標準報酬月額」と「標準賞与額」の合わせたもので、標準賞与額は「150万円×3(回)÷12(ヵ月)」で37万5,000円であり、平均標準報酬額は「65万円+37万5,000円」で102万5,000円となります。

 

では先ほどの計算式に当てはめてみると「102万5,000円✕5.481/1,000✕648ヵ月=364万0,480円」。1ヵ月あたり30万3,000円ほどとなり、満額の国民年金と合わせると月約37万円が考えうる公的年金受給額の最高額となります。

*簡易的に②のみで計算

 

平均的な大卒サラリーマン…65歳まで働いた場合の年金額

しかし、中学生のころから働き、70歳までの給与のアベレージが63万5,000円以上、賞与は年3回ももらい、1回あたり150万円以上……とても浮世離れした話です。実際は、どれほどもらえるものなのでしょうか。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で大卒サラリーマンの平均給与から考えてみます。

 

大卒後、正社員(雇用期間の定めなし)、各年代の平均年収は以下の通り。ただし、60歳で定年、再雇用となった場合は、嘱託社員や契約社員となるケースが多数派。60代前半、非正規社員の平均年収は438万円ほどと、正社員時代の7割弱となります。

 

【年齢別「大卒正社員」の平均年収】

20~24歳:3,489,700円

25~29歳:4,614,500円

30~34歳:5,454,500円

35~39歳:6,371,300円

40~44歳:6,944,700円

45~49歳:7,569,600円

50~54歳:8,379,500円

55~59歳:8,583,900円

60~64歳:6,704,200円

 

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』

 

簡易的な計算ではありますが、平均的な大卒サラリーマンの年金額は、厚生年金部分が月12.8万円。国民年金と合わせると月19.4万円となる計算です。

 

また60歳の定年時に会社員を引退し、隠居生活をスタートさせた場合は、厚生年金部分は12.2万円となり、国民年金と合わせると月18.8万円となる計算です。