相談内容
夫 56歳 正社員 年収700万円
Aさん 30歳 パート 年収130万円
子供 3歳(Aさんの連れ子)
現在の貯金額 約1,000万円
職場を通じて夫と知り合い、1年ほど前に結婚しました。結婚式を済ませ、マンションも購入し、ようやくひと段落ついたところですが、夫とは26歳離れているので、たまに今後のことが気になります。お互い結婚歴があり、2人とも子供がいますが、現在は私の子と3人で暮らしています。子供はまだ3歳なので、これから教育費がかかってきます。子供の将来のこともそうですが、私たちの老後は大丈夫でしょうか?
<毎月の収入>
手取り収入 合計50万円
前夫からの養育費 約4万円
<毎月の支出>
生活費 20万円
住宅ローン 15万円
教育費 3万円
前妻への養育費 6万円
貯蓄 10万円
老後の生活は大丈夫?
現在の収支を見ると、収入に対して支出を程よいバランスで抑えられているように見えます。しかし、今後夫が定年を迎え、年金を受け取るときが来たら状況はどのように変化するでしょうか。
夫が65歳の定年退職まで、このままの年収をキープしたとすると、65歳から受け取ることのできる年金月額はおよそ20万円となり、Aさんのパート収入約10万円を合わせると、月およそ30万円の収入となります。現役のころと比べると、1ヵ月あたりおよそ20万円の収入ダウンとなり、このままの生活を続けると毎月10万円の赤字となります。
加えて、お子様はこのとき12歳。まだまだこれから教育費がかかる年齢です。先々かかる教育費についてもいまのうちから意識しておく必要があります。
教育費はいくらかかる?
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査の結果について」によると、3歳から高校3年までの15年間の教育費の合計は下記のとおりとなります。
<オール公立の場合>
574万4,201円
内訳
公立幼稚園 47万2,746円
公立小学校 211万2,022円
公立中学校 161万6,317円
公立高等学校 154万3,116円
<オール私立の場合>
1,838万4,502円
内訳
私立幼稚園 92万4,636円
私立小学校 999万9,660円
私立中学校 430万3,805円
私立高等学校 315万6,401円
Aさん夫婦は、お子様の進路についてはオール公立を望まれていますが、それでも夫が定年を迎えたあとに、中学・高校と300万円超の教育費がかかると予想されます。さらにお子様が大学への進学を希望した場合は大学の入学費や学費もかかります。
Aさん夫婦の希望どおりの進路を歩んでくれればいいですが、お子様の考えによっては私立や大学院への進学も予想されます。上記の金額を参考にしていただきながら、ある程度お子様の希望を叶えてあげられるような準備を、今のうちからしておきたいところです。
夫、定年退職後のその先
厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年の日本人の平均寿命は、男性は81.47歳、女性が87.57歳となっています。特に、年の差婚であるAさんご家族では、夫が先に旅立つ可能性は高いかもしれません。平均寿命から考えると、夫が81歳で亡くなったとした場合、Aさんは55歳でお子様と2人きりの生活となります。あまり考えたくないことですが、その後の生活についても少し考えてみます。
日本には公的年金制度があり、サラリーマンである(であった)夫が死亡した場合、Aさんは遺族年金を受け取ることができます。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、子が18歳を過ぎた場合、遺族基礎年金の受給権は消滅し、受け取ることはできません。
よって、上記の場合は遺族厚生年金のみ(年齢によって加算あり)の受給となります。
平均寿命の81歳で亡くなった場合
夫の老齢年金 月20万円
Aさんの収入 月10万円
合計 月30万円
↓
夫の遺族厚生年金 月10万円(基礎年金分を差し引き、かつ3/4の額となる)
Aさんが65歳までの加算額(中高齢寡婦加算)月5万円
Aさんの収入 月10万円
合計 月25万円
月5万円の収入ダウン
夫の遺族年金約15万円と、Aさんの収入約10万円の合計約25万円が、収入の目安となります。