サラリーマンが収入アップを実現する方法の1つに「出世する」というものがありますが、生涯平社員とエリート社員の間には、生涯賃金にして「家一棟分」もの差がつくというのが平均的な姿といえそうです。ところが、たとえば同じ「部長」の席に登り詰めたとしても、高卒・大卒では待遇に大きな差が。あくまで平均値を見る限り入社前の時点で勝敗が決まっているというのが、この国の現実なのかもしれません。詳しくみていきましょう。
高卒の52歳・部長、「出世街道」駆け上がった末の“年収750万円”…大卒エリートとの〈給与格差〉に意気消沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

平社員とエリート社員…生涯賃金の差は?

サラリーマンの主たる収入源である会社からの給与。給与を増やすには、就業時間外に副業や兼業に勤しむ、より待遇の良い会社へと転職するという方法のほかに、社内で経験と実績を積んで出世するという方法があります。

 

それでは、ねらい通り出世できたとして、どれほどの給与アップが望めるのでしょうか。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、役職に就いていない男性サラリーマン(学歴計・平均年齢41.4歳)の平均給与(所定内給与額)は月30万1,000円。賞与などを含めた年収は推定493万円です。

 

続いて係長(平均年齢45.3歳)に昇進すると、月収は37万9,100円、年収は推定648万円。月収で7万円、年収で150万円超の給与アップです。課長(平均年齢48.8歳)になると、月収49万5,600円で推定年収は800万円。さらに部長(平均年齢52.8歳)へとステップアップすると、月収は59万3,100円、推定年収は926万円。

 

役職に就いていなかった40代前半頃から、年収は2倍近くになっていることがわかります。

 

引退まで平社員を貫いたサラリーマンと、平均的なスピードで係長→課長→部長へと昇進していったサラリーマンの間には、生涯年収にしてどれほどの差が生じるのでしょうか。

 

まずは、生涯平社員の場合。20代前半で22万2,400円だった月収は年齢を重ねるごとに順調に上がり、30代後半で31万4,200円、平均月収は50代後半の34万7,400円でピークに達します。この頃の年収は565万円ほどであり、60歳の定年退職までの生涯賃金は、およそ2億円。

 

一方で順調に出世街道に乗ったサラリーマンの場合、途中までは上の平社員の給与水準と同じですが、役職に就いて以降、差が広がり始めます。45歳で係長、48歳で課長、52歳で部長になったとすると、生涯賃金は約2億4,000万円。

 

生涯平社員と出世街道を爆進したエリート社員の間には、生涯賃金にしておよそ4,000万円、20歳代後半の平社員の年収の10年分ほどの差がつくことがわかりました。この差を「家を一棟買えるほど」の大きな差と捉えるか、はたまた役職者が負う重責を考慮すると「もっと貰ってもいいのでは?」と捉えるのかは、ひとそれぞれでしょう。