50代の転職者、5人に1人が「給与3割減」
さらに、転職で給与が「3割以上」減った人を年齢別にみていくと、20代後半は10.4%、30代前半は12.7%、30代後半は13.0%、さらに40代は前半・後半ともに10%を下回る水準であったのに対し、50代前半では18.2%でした。
厚生労働省の『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、50代前半の男性で大卒・正社員の場合、月収は50万6,900円。残業代や賞与も含めた推定年収は830万円超となり、20代前半からのサラリーマン人生を振り返ってみても、給与はピークといえる水準。
20~24歳(平均23.7歳):23万5,800円/348万6,300円
25~29歳(平均27.5歳):27万3,400円/460万9,400円
30~34歳(平均32.4歳):32万1,700円/544万9,300円
35~39歳(平均37.5歳):37万8,500円/637万700円
40~44歳(平均42.5歳):41万8,400円/693万4,400円
45~49歳(平均47.5歳):46万600円/756万4,000円
50~54歳(平均52.4歳):50万6,900円/837万2,300円
55~59歳(平均57.4歳):52万5,700円/857万6,700円
出所:厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』より
※数値左:所定内給与額、右:推定年収
単純計算で、給与が3割減となると年収は580万円台に。これは、同じ大卒・正社員でいえば30代前半の水準。いくら「給料より大切なものがある」といっても、定年が視野に入り、老後に向けた資産形成のクライマックスともいえる50代において、「年収250万円減」という事実に直面すれば、「やっぱり、給料は大事だよね」と少し後悔してしまう人も多いかもしれません。
もちろん転職にかける思いは人それぞれ。貯蓄も十分にあり、「本当にやりたいこと」を追求してサラリーマン人生の集大成となるキャリアチェンジに挑戦するという人も少なくないでしょう。
一方、50代での転職には、それ以前の若い世代に比べてより高度な経験やスキルが求められます。とくに、異業種・未経験への職種への転職を志すとなると、給与は減って当然と考えるべきでしょう。給与水準の高い50代サラリーマンが転職を検討する場合、転職理由として挙げた「自分が本当にやりたいこと」は、定年退職後では実現できないことなのか、一度立ち止まって考えてみることが大事かもしれません。