東京には、江戸時代に由来する地名が数多く残されています。今回は町人が活躍した街に焦点をあてていきます。
銀座、蔵前、馬喰町、…江戸文化息つぐ「東京の街」を巡る【江戸歴史散歩④】 (※写真はイメージです/PIXTA)

蔵前【台東区】…幕府の米蔵があったことに由来

蔵前・第六天榊神社
蔵前・第六天榊神社

 

台東区の南東部に位置する蔵前は、商業地・住宅地が混在する地域で、周辺には江戸通りに面して多くの花火問屋やおもちゃ問屋が立ち並ぶ問屋街として有名です。

 

蔵前という地名は、江戸時代に隅田川に沿って幕府の米蔵(浅草御蔵)があったことに由来し、付近には米商人「札差(ふださし)」の店が建ち並んでいました。札差は武士に代わって御蔵から米の受け取りや運搬・売却を、手数料を取って代行する仕事を本業としていましたが、蔵米を担保として大名や旗本、御家人に金の貸し付けも行い、その利息で莫大な利益を得ていました。

 

蔵前3丁目にある蔵前神社は、徳川第五代将軍綱吉公が、元禄6年(1693)8月に、江戸城の鬼門厄除の守護神として、山城国(京都府)の石清水八幡宮を勧請したのが始まりといわれ、宝暦7年(1757)に第一回の勧進大相撲が催された神社です。

 

勧進大相撲とは、寺社・仏像の建立(こんりゅう)・修繕などの費用を捻出するために境内で開催した相撲のことで、木戸銭を取って見物させていました。とくに、横綱谷風や大関雷電などの力士が活躍した時期は相撲人気が高まり、庶民に親しまれていました。勧進大相撲は、蔵前以外にも深川の富岡八幡宮や本所の回向院など、府内各地で行われていましたが、天保4年(1833)以降は、本所回向院が定場所となっていきます。

 

現在、大相撲が開催される両国の国技館は、昭和30年(1955)に御蔵のあった場所の一部に建てられた蔵前国技館が移転したものです。

 

【蔵前周辺のおすすめスポット】

◆ペリカン

1942年から続く老舗のパン屋。種類は食パンとロールパンの2つのみで、購入には事前予約が必要なほどの人気店

◆ペリカンカフェ

人気店「ペリカン」のパンが食べられるカフェ。平日でも開店前から行列ができる人気店

◆ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前

サンフランシスコ発「ダンデライオン・チョコレート」の海外出店第一号店。製造工程を間近で見られるカフェ

◆台東区立精華公園

蔵前小学校や法林寺に隣接する区立の公園。ビオトープや畑のある自然が活かされた公園

◆蔵前神社

落語の演目の1つ「元犬」ゆかりの神社。江戸時代には境内で大相撲の興業が行われていた

◆第六天榊神社

日本武尊が東夷征伐の折に創祀したといわれる神社。下町八福神の神社めぐりコース(巡礼札所)のうちの一社

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