東京には、江戸時代に由来する地名が数多く残されています。今回は町人が活躍した街に焦点をあてていきます。
銀座、蔵前、馬喰町、…江戸文化息つぐ「東京の街」を巡る【江戸歴史散歩④】 (※写真はイメージです/PIXTA)

東京の暮らしを豊かにする情報満載のWEBメディア「TOKYO@14区」
ほかの記事も読む(外部サイトに遷移します)>>>

両国【墨田区】…武蔵国と下総国をつなぐ橋があった

両国国技館
両国国技館

 

両国は墨田区の町名の一つですが、両国橋周辺一帯を指す地域名でもあります。明暦の大火後の万治2年(1659)に、隅田川に橋が架けられ「大橋」と名付けられますが、武蔵国と下総国の間に架けられたことから「両国橋」とも呼ばれ、それが、現在の地名の由来になります。

 

それまで、隅田川には江戸城の防衛などの理由から、千住大橋以外は架橋されていませんでしたが、明暦の大火により多数の死者を出したことから、災害時の避難経路にもなるよう両国橋が架けられ、その両岸には火除けのために広小路が設けられました。明暦の大火後は江戸市中各地で広小路が設けられ、そこには床見世(簡易的な店舗、屋台)が並び、多くの人々で賑わいをみせる場所もありました。その中でも、江戸三大広小路の一つに挙げられる両国広小路は、特別大きな賑わいを見せていた場所で、特に、享保年間(1716~1736)に流行した疫病の犠牲者の供養と病魔退散のために、八代将軍徳川吉宗により始められたと言われる両国の花火大会(後の隅田川花火大会)の時期は混雑したようです。

 

このように、神田、日本橋方面が両国橋東側と直接結ばれたことで、両国橋は、本所・深川の市街地化の促進のために欠かせない大事な橋となりました。

 

【両国周辺のおすすめスポット】

◆江戸東京博物館

江戸東京の文化と歴史をふりかえる博物館。展示以外に講座や体験教室なども開催。2023年9月26日現在、大規模改修工事のため休館中

◆両国国技館

大相撲興業のための施設だが、他のスポーツ会場や音楽のライブ会場としても使用。中に相撲博物館もある

◆すみだ北斎美術館

墨田区にゆかりのある葛飾北斎の公立美術館。富嶽三十六景おなじみの作品が展示されている

◆東京水辺ライン

東京都公園協会が運営する水上バス。両国に発着場の一つがあり、様々な定期・不定期運航路線がある

◆隅田川テラス

隅田川両岸に沿って整備されたテラス。憩いの場、散策路、公園として人々が集まる