6万人の母子世帯が年収100万円以下…離婚しても半数以上が養育費をもらっていない
貧困には、大きく絶対的貧困と相対的貧困の2つがあります。前者は生きるうえで必要最低限の生活水準が満たされていない状態のこと。世界銀行では1日1.90ドルを国際貧困ラインとしています。一方で後者はその国や地域の水準と比較して大多数よりも貧しい状態のこと。日本で語られる貧困問題は、こちらのことを指します。
厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査』によると、2021年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は127万円。世帯収入がそれ以下の「相対的貧困率」は15.4%となっています。
日本の貧困で問題視されているのが「子どもの貧困」で、17歳以下の子どもの貧困率は11.5%。世帯主が18~65歳の現役世帯に限ると10.6%。さらに「大人が1人世帯」に限ると44.5%と、ひとり親世帯における貧困率がずば抜けて高いことが分かります。
では「ひとり親」の状況について、厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』で詳しくみていきましょう。
ひとり親世帯のうち、母子世帯は119万5,128世帯、父子世帯は14万8,711世帯。圧倒的に母と子の世帯が多くなっています。さらに母子世帯となった理由をみていくと、「死別」は6万3,378世帯で全体の5.3%。父親は生きている「生別」は111万7,928世帯で全体の93.5%を占めます。
さらに生別のうち、「離婚」は95万0,458世帯で全体の79.5%。ほか「未婚の母」が12万8,755世帯(全体の10.8%)、「遺棄」が5,176世帯(0.4%)、「行方不明」が2,571世帯(0.2%)となっています。
同じ未来を夢見て結婚したものの、離婚という残念な結果となり、子どもは母親が引き取る……ひとり親は圧倒的にこのパターンが多いことがわかります。
そんな「離婚による母子世帯」の収入面をみていくと、平均年間収入は363万円、さらに就労収入は平均240万円。仕事で月20万円を稼ぎ、そのほかの収入が月10万円ほどある計算です。
仕事での収入は手取りにすると15万~16万円程度。月10万円の+αは養育費だとすると非課税となるので、1ヵ月の生活費は平均月25万円程度。平均値で考えれば、女手一つで育てるには十分ではないですが、不可能ではないといった水準でしょうか。