ガソリン代高騰で各所から悲鳴…そろそろ限界か?
岸田総理は燃料価格の負担軽減策を延長し、10月中旬には1リットル当たり175円まで抑えたいとしていますが、昨今の価格推移をみてみても、やはり高いガソリン代(図表)。各所から悲鳴が聞こえてきます。
まずは運送業界。大型車両であれば軽油を使用しますが、もちろん軽油も高騰中。「軽油が1円値上がりすると、業界全体で150億円以上の負担増となる」といわれているなか、急激な燃料費高により価格転嫁できず、走れば走るほど赤字という業者も珍しくありません。ただでさえ運転手不足が深刻な運送業界ですが、「燃料費が高くて荷物をお届けできません……」と、私たちの生活にも影響が出てきそうです。
そしてタクシー業界。タクシーはガソリンのほか、LPガスを使用する車両もありますが、どちらにせよ燃料価格高騰で大きな負担増を強いられています。コロナ禍明け、需要回復という明るいニュースに水を指す燃料高。さらに運送業界と同じく、タクシー業界でも人手不足は深刻です。全労働者平均の6割程度といわれる給与水準をなんとか高めようと賃金アップに奮闘していますが、燃料費の高騰を受けて「賃金なんて上げられない」という悲鳴が聞こえてきます。
また、一見するとガソリンとは無関係な業界からも悲鳴が聞こえてきます。
介護業界。介護保険サービスの訪問介護は、車が必須。2022年はガソリン代高騰もあり、経費率が経営を圧迫し、赤字の企業は4割にものぼったといいます。そこにきてさらなるガソリン高で、経営はさらに不安定になっています。介護業界では需要と供給のバランスが崩れ、都心部では「介護難民」が問題となっていますが、原油高によってさらに事態は深刻化すると、という専門家も。
さまざまな方面に影響を及ぼしている、ガソリン代の高騰。当然、私たちの家計にも大きな負担となります。特にこれからの季節、灯油の消費が増える北日本では原油高は一大事。専門家からは、年内いっぱい、燃料高を覚悟しなければならないという意見も聞かれますが、一刻も早い価格の安定が望まれます。