日本のマイホーム取得者はおおむね40歳前後。その年代の平均年収540万円ほどとされますが、4,000万円ほどの住宅を購入する場合、どんな資金計画を組むのが適切でしょうか。詳しくみていきます。
通勤時間は伸びるけど、埼玉に住むか…「新築マイホーム」を夢みる“平均的な”40代会社員、妥当な住宅ローン〈月返済額〉は? (※写真はイメージです/PIXTA)

「平均的な会社員」のローン完済は70歳過ぎ…もう少し短いローンを組んでみたら

仮に、4,000万円の新築戸建て購入に際して800万円の頭金を入れ、借入額3,200万円・30年返済の住宅ローンを利用したとします。返済方式は元利均等、金利は0.5%とすると、利息分は246万6,449円で、月々の返済額は9万5,740円。年間の総返済額は114万8,880円と、年収540万円に対し返済負担率は21.3%ほどとなります。「適正」な水準に収まっており、余裕のある返済プランといえそうです。

 

ただ、この通りの返済プランで進めていくのは少々不安かもしれません。その理由は完済時期。上にみたとおり、40歳前後で30年ほどの住宅ローンを組んでマイホームを購入するというのが平均的な姿ですが、それではローン完済が70歳前後となります。多くの人が年金生活となっているタイミングです。

 

それでは、もう少し完済時期が早くなるようにしたら月々のローン負担はどうなるのでしょうか。上と同じく、3,200万円の借入を行って新築戸建てを購入したケースを想定してみましょう。

 

65歳のときに完済すべく25年のローンを利用した場合、月々の返済額は11万3,494円。30年ローンを利用した場合に比べ、月々の返済額は1万7,700円ほど増え、返済負担率も25.2%ほどに高まります。「適正」な水準をわずかに超えており少々負担感はあるかもしれませんが、共働き世帯であれば不可能ではないでしょう。

 

ただ、住宅ローンの返済を行う現役期間中、一時も途切れることなく、同じ水準の収入を得続けられる保証はどこにもありません。勤め先の業績悪化によってボーナスカットが行われる可能性もありますし、病気やケガによって就労不能に陥るリスクも排除できません。

 

そうした「まさかの収入減」に備え、安定的に収入を得られている時期にできるだけ多くの自己資金(頭金)を準備しておくのは有効といえます。そのほか、たとえば都内に勤めている会社員であれば物件価格が高騰している23区の物件には早い段階で見切りをつける必要があるかもしれません。

 

「いまより通勤時間は30分くらい伸びるけど、埼玉に住むか」

 

そうやって近隣県も視野に入れてみると、思わぬ“お手頃物件”に出会える可能性もあるでしょう。

 

上記のシミュレーションで完済時期として想定したのは65~70歳。その頃にローンを返し終わっていたとしても、老後の生活はまだまだ続きます。現役時代に毎月返済をしながらも、同時に、年金生活に突入した後の生活を豊かにするための資産形成を行っていける余裕を持つことが重要です。