高齢化率29.1%…2040年には35%超え
総務省『人口推計』(2023年9月15日推計)によると、65歳以上の高齢者人口は3,623万人と、前年から1万人減少し、1950年以降、初めて減少を記録しました。一方で、総人口に占める高齢者の割合は29.1%と、前年から0.1%の増加となりました。
高齢者人口を詳しくみていくと、75歳以上の後期高齢者は2,005万人で、前年から72万人ほど増加。80歳以上は1,259万人で、27万人の増加。85歳は671万人で12万人の増加。さらに100歳を超えるご長寿は全国で9万人。女性が8万人、男性が1万人と、圧倒的に女性のほうが長生きです。
昨年は日本人のなかでも人口ボリュームの大きな「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が75歳を初めて迎え、総人口に占める割合は初めて15%を超えました。日本の高齢社会も、新たなステージに入ったといっても過言ではないでしょう。
総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、1950年の4.9%以降、一貫して上昇が続き、1985年には10%、2005年には20%を超えました。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後、日本人のもうひとつの人口ボリュームである団塊ジュニア(1971年~1974年)65歳以上となる2040年、日本の高齢化率は35.3%になると見込まれています。
現役世代2人で1人の高齢者を支える日本…負担ばかりが増えていく
一方で、そんな高齢者を支える現役世代は、7,405万人。前年から9万人減少しました。現在、現役世代2人で1人の高齢者を支えていますが、その負担は徐々に大きくなり、2040年には現役世代1.6人で1人の高齢者を支えるようになるといわれています。
現役世代の負担増はさまざまな指標でいわれていますが、分かりやすく国民年金の保険料についてみていきましょう。2023年度の国民年金保険料は月1万6,520円。さかのぼること30年ほど前の1990年。当時の高齢化率は12.0%で、国民年金保険料は月8,400円と現在の半額ほどでした。
一方、サラリーマンの平均給与は当時438万円。現在の平均は443万円と、ほぼ変わりません(国税庁『民間給与実態統計調査結果』より)。これが俗にいう「失われた30年」と呼ばれる日本の現状。収入は増えないのに、負担ばかりが増えていく……今後も賃金アップがなければ、さらに負担は重くなるだけです。