日本の高齢者が「定年後も働き続ける」理由
果たして日本の高齢者は仕事に対してどのような考えをもっているのか、厚生労働省『令和2年高齢社会白書』から紐解いていきます。
まず現在収入のある60歳以上に「いつまで働くか」を尋ねたところ、「65歳くらいまで」が11.6%、「70歳くらいまで」が23.4%、「75歳くらいまで」が19.3%、「80歳くらいまで」が7.6%。そして最も多かったのが「働けるうちはいつまでも」で36.7%でした。
――死ぬまで働くつもりです!
そこまでの意欲かどうかは別として、日本の高齢者は働く気満々だといえるでしょう。
なぜそこまで働く意欲が高いのか……現在仕事をしている60歳以上の人に「働く理由」を聞いたところ、「収入がほしいから」が最も多く45.4%、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が23.5%、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を 生かせるから」が21.9%と続きます。
働くうえで「収入」は重要ではあるものの、「健康」や「やりがい」など、それ以外の動機も大きいようです。また60歳以上の7割が「経済的な暮らし向きに心配ない」と回答していることから、収入を理由に働いていても、すべての人が生活に困っているわけではないことが伺えます。
ーーうちに、バイトを掛け持ちする元気なイケオジがいる
地方のカフェでアルバイトをする学生の投稿。そのイケオジは、なんと70代の男性だといいます。カフェでは週4程度、そのほか自身のキャリアを活かしパソコン教室の講師をしているのだとか。
――カフェの時給は890円。どちらかといえば、低賃金
と学生。なぜ70代でカフェのアルバイトをしているのか飲み会で聞いたところ「昔、観ていたアニメに登場する喫茶店のマスターに憧れて」と回答。本当は定年後に喫茶店を開きたかったといいますが断念。形は違えど、今は夢が叶い幸せだといい、誰よりも楽しそうに働いているのだとか。
コロナ禍明け、仕事を再び始める高齢者が増えているといいます。そのなかには「生活苦」を理由とした人が大勢いますが、一方で、「生きがい」「やりがい」などを口にしている人も多いといいます。
特に昨今は社会から孤立する高齢者が増加し、社会問題となっています。「働く」ことで「社会参加」することは、社会からの孤立を避ける意味でも有効だといえるでしょう。
定年後も働き続けることが当たり前になりつつあるなか、「生活苦」を理由にするのは、現役世代としても少々辛いものがあります。70代・カフェ店員のように、定年後に楽しく働くためには、まずは経済的に余裕があることが大前提。そのためにも現役世代の私たちは、とにかく資産形成に励むしか方法はありません。