「老害上司」とは?
「老害」という言葉をこのごろはよく聞くようになりました。「老害」とは、歳をとることによる判断力や思考力の低下により周りに迷惑をかけてしまう年配の人のことをいいます。
少し前であれば、高齢の政治家が時代錯誤の失言によって謝罪会見をしたり、免許を返納したほうがよいのでは?と思われる高齢者ドライバーが人身事故を起こしてしまったり、といった話題が世間を騒がせることがありました。高齢者が増え続けている日本ですから、こういった社会的な問題も増えています。
「老害」というと70代以上の高齢者による弊害といったイメージがありましたが、最近は社内を悩ます50代以上の「老害上司」といわれる人も出てきたようです。この老害上司と呼ばれる人達には次のような特徴があるようです。
・感情的になりやすい面があり、チームワークや職場での雰囲気を乱される。
・新しい機器やシステムの導入についていけず、若い人に任せてしまったり間違った使い方をしてしまったりする。
・長時間働くことが仕事熱心で優秀だと考えていて、早く帰ろうとすると叱られる。
・男女平等でなく、年功序列を生きてきた世代のため、セクハラやパワハラに無頓着なところがある。
・部下には厳しくあたるが、取引先や上司には態度が豹変する。
昔からこのようなタイプの上司はいましたが、以前からの考え方や仕事のやり方を引きずってきた人が時代に合わなくなってきて「老害上司」と呼ばれるようになったと思われます。
下記のグラフは総務省の「労働力調査」をもとに国土交通省が作成したグラフです。こちらによると、どの産業でも20代以下の働き手が減り、逆に55歳以上の働き手は増えているのがわかります。職場の年齢層が高くなり、若手の割合が減ってしまったことも、若い人から見るとストレスになってしまい「老害上司」という言葉が出てきたのかもしれません。
(注)2011年は、東日本大震災の影響により全国集計結果が存在しない。
資料:総務省「労働力調査」より国土交通省作成
働きの悪い「老害上司」の衝撃給与額
Aさんは35歳。大手ハウスメーカーの係長です。
職場の同じ課内には、Aさんの上司である50代の課長と課長代理がおり、2人は年が近いせいか仲がよく、仕事中も2人で冗談を言って笑い合ったり、休日のゴルフの話をしたり、とAさんから見ると仕事をしている様子がまったくないと感じてしまいます。しかもAさんなど若い人がミスをしたときは、1人が怒り出すともう1人も一緒になって2人で怒ってくることも……。
Aさんの会社はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進のため、ITコンサルタントの企業との打ち合わせがあったり、仕事のやり方も変わってきたりと忙しくなっていますが、2人の上司は「ITとかDXとかわかんないんだよ」と、Aさん達に任せっきりです。Aさん自身も慣れないIT用語の理解やシステムの変更の対応に毎日遅くまで残業が続いているのと、上司と部下との板挟みでストレスもかなり溜まってきている状態です。
そんな状態のときに、上司2人の年収が900万円を超えていることをたまたま耳にします。Aさんは「え~!? 僕の給料の2倍じゃん! どう考えても僕のほうが2倍働いてないか!?」と怒り心頭です。
Aさんはストレスから転職も考えましたが、部下もいるのと進んでいるプロジェクトも抱えており、簡単には辞めることもできません。この状況に怒りを通り越して、なんだかだんだん虚しくなってきました。
社員の年齢や勤続年数で給料が決定されているいわゆる「年功序列型」の企業はまだまだありますので、Aさんのように上司の年収に納得がいかない人も多いでしょうが、「成果報酬型」の企業でのお勤めもそれはそれで苦労があります。なお、Aさんの会社ではDXが進んでいることから、今後は業務改革や組織変更も進むことも十分考えられますので、Aさんの上司の役職や年功序列の給与にも見直しがあるかもしれません。