30年ローンを組んで注文住宅を購入した39歳のサラリーマン。ローンの完済時期は70歳手前を予定しており少々不安ですが、この先も順調に昇格・昇給していけば「まぁ、なんとかなるだろう」と考えています。思惑通り50代で部長になったとして、住宅ローンの返済に本当に問題はないのでしょうか。ローン返済期間に訪れる2つの「収入減」に焦点をあてて、考えてみます。
39歳・大企業係長のマイホーム購入…69歳で完済予定の住宅ローン〈3,700万円〉に戦々恐々 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役引退後も住宅ローン返済が残っていたら…家計はどうなる?

年金生活に突入した後も住宅ローンが残っていたら、家計はどうなってしまうのでしょう。

 

厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均年金額は65歳以上男性で月17万円、女性だと10万円程度となり、共働きだった夫婦なら、月27万円程度を受け取れる計算です。無職・高齢者夫婦の平均消費支出は22万~23万円程度とされており、天引き額を考慮すると、27万円というのは「生活をギリギリ保てる」程度の水準です。

 

普通に生活しているだけで年金がなくなってしまうのであれば、月14万円ほどの住宅ローン返済のために、貯蓄を取り崩すしかありません。上記の平均値の通り、39歳で30年間のローンを組んでいたとすると、65歳の年金受給開始時点で残る返済期間は4年。年間の返済額が174万円の場合、4年間の返済総額はおよそ700万円になります。

 

収入減が年金のみになる老後は、生活費の補填や、病気やケガ等の不測の事態に備えるために、貯蓄の減少スピードをいかに抑えるかが重要です。

 

ただ、役職定年や定年を迎え、給与収入が大きく減ってから対策を考え始めても間に合いません。年収アップが見込める50代半ばまでの間に資産形成のスピードを上げるほか、必要に応じて住宅ローンの繰り上げ返済を行うなどして、生活資金とは別に、いつでもローンを払ってしまえるだけの余裕資金を確保しておくことが理想です。