ロシアによるウクライナ進行により、世界的な緊張が続いていますが、それに伴い、世界では武器の取引が活発化しています。そして武器の輸出・輸入の現状をみてみると、日本の微妙な実情が浮き彫りになってきました。
世界「武器輸入・輸出額」ランキング…平和主義「日本」の意外な順位 (写真はイメージです/PIXTA)

世界38位…ルール変更も輸出額は伸びず

世界において「日本」は、武器輸入の上位国の常連。2010年代前半は輸入額を減らしていましたが、近年、安全保障の重要性が増し、2017年以降は増加傾向にあります。

 

一方、武器輸出については、「日本」は世界38位。圧倒的な輸入超過となっています。

 

――えっ、日本って武器を輸出していいの⁉

 

そう驚いた人もいるかもしれませんが、安倍政権時代の2014年、「防衛装備移転三原則」を決め、それまで原則的に武器輸出を禁じてきたルールを変更しました。それにより、防衛産業が活性化すると期待されましたが、国際競争力は極めて低く、当初の思惑通りには進んでいないようです。「防衛産業はわが国の防衛力そのもの」という政府の見解とは裏腹に、国内企業の防衛事業からの撤退が相次いでいます。

 

そんななか議論となっているのが、「殺傷能力のある武器輸出」。現行ルールでは不可能で要件緩和が必須とされていましたが、現行ルール上でも可能という新解釈が出てきているのです。

 

日本では憲法に基づき、武器輸出を原則禁じる「武器輸出3原則」を確立する一方で、例外措置を積み重ねてきました。そして前出の通り、2014年に「防衛装備移転三原則」を決定。さらに拡大解釈により、武器輸出を加速しようとしています。

 

政府与党内には、新解釈に対し慎重論も根強く、先行きも不透明。武器の輸出により、経済が活性化する可能性もありますが、日本の安全にも関わること、議論の行く末をきちんと注視していきたいものです。