わずか100人に1人ほどの「世帯年収2,000万円」を超える高給取りの夫婦。悠々自適な老後が確約されたようなふたりでも、破綻という結末を迎えるケースも。その発端となる50歳以降に直面する「収入の崖」とは……みていきましょう。
年収2,000万円「勝ち組エリート夫婦」贅沢三昧から一転〈老後貧乏〉の危機…50歳以降に直面する「3つの収入の崖」とは (写真はイメージです/PIXTA)

50代の「勝ち組エリート夫婦」…余裕の生活が一転する、3つの「収入の崖」

住宅ローン(すでに完済している可能性は高いですが)に子どもの教育費……それらを払ってもまだまだ余裕があるから、ジムやエステで自分を磨き、お気に入りのグルメに優雅に舌鼓。長期休暇には海外のリゾートへ……そんな充実した日々を送れそうな、50代の勝ち組エリート夫婦。

 

しかし定年後も毎日が休日のような贅沢三昧ができるとは限りません。これからの15年ほどの間に直面する「収入の崖」にきちんと対応していかないと、悠々自適のはずの老後が一気に貧乏に。最悪、生活が破綻することも考えられると専門家は警鐘を鳴らします。

 

「収入の崖」は、会社員の給与が大きく減少するタイミング。50代以降に気にしなければならない「収入の崖」は3つあるとされています。

 

50代以降の「収入の崖」①役職定年

まず50代前半から後半に訪れる「役職定年」。肩書がなくなることで、給与は平均して2割程度下がるといわれています。ただ最近は、モチベーションを保てなくなるという弊害から、役職定年を撤廃する企業が増加傾向。最初の「収入の崖」は幸運にもなくなる方向にあるようです。

 

50代以降の「収入の崖」②定年

一方、会社員であれば絶対的に訪れるのが「定年」。現在、多くの企業で60歳を定年年齢と定め、それ以降は雇用形態を変え、引き続き働けるようになっています。ただ雇用形態の変更に伴い、給与は平均3~4割程度減少します。しかし、昨今は人材確保の観点から定年後も好待遇という企業も増加。「崖の高さ」は低くなりつつありますが、ほとんどの人が乗り越えなければならない「収入の崖」です。

 

50代以降の「収入の崖」③現役完全引退&年金生活突入

そして最後に直面するのが「現役を引退し、年金生活に突入」する際の崖。給与所得がまったくなくなり、基本的に年金収入だけになるというタイミング。厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、年金生活者の44%が「収入の100%が公的年金」で、「80~100%が公的年金」も合わせると、実に6割を超えます。このタイミングでも平均2~3割程度の収入減となります。