わずか100人に1人ほどの「世帯年収2,000万円」を超える高給取りの夫婦。悠々自適な老後が確約されたようなふたりでも、破綻という結末を迎えるケースも。その発端となる50歳以降に直面する「収入の崖」とは……みていきましょう。
年収2,000万円「勝ち組エリート夫婦」贅沢三昧から一転〈老後貧乏〉の危機…50歳以降に直面する「3つの収入の崖」とは (写真はイメージです/PIXTA)

50代以降に増える支出「介護費」と「医療費」

50代から15~20年程度で最大3回は訪れる「収入の崖」。最終的に50代のときの収入から7~8割程度の収入になります。収入減のタイミングで収入や貯蓄に合わせてライフスタイルを見直していかないと、急激に家計が悪化する場合も。

 

また安定した老後のためには、50代以降に大きく支出が増える項目について把握しておきたいもの。生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査/2021(令和3)年度』によると、介護費は約580万円。施設介護も含めた平均値は月8.3万円で、平均介護期間は約5年1ヵ月です。ただし介護はいつまで続くか分からず、10年以上続くことも考えられます。介護期間が長くなれば支出もそれだけ増えることになります。

 

まず直面するのが親の介護。その後に自身の介護と向き合うことになるでしょう。自身の介護費用については自身で持つのが基本なので、親の介護でコストを負担することは通常はありません。ただ、親が負担できなければ子が負担することも。親の介護費用を負担すると自身の介護費用が不足する事態も考えられるので注意しておきたいところです。

 

医療費は70歳以上75歳未満の被保険者は所得に応じて2割または3割、75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者は所得に応じて1割~3割を負担します。平均すると10万~20万程度の医療費負担ですが、病気やけがなどの内容によってはかなり高額になるケースもあり、家計を圧迫する要因になります。

 

ほかにも冠婚葬祭費や住宅の修繕など、突発的な支出も当然あるでしょう。想定以上の支出になることも珍しくなく、一概に「貯蓄がいくらあれば安心」「年金のほかにいくらあれば余裕」とはいえません。それほど老後の生活は不透明なものです。それでも老後の安心のために、現役世代の私たちができるのは、大きく「①働いてお金を得る」「②お金を貯める」「③お金を運用する」「④無駄を省く」の4点。とにかく、できることから第1歩を踏み出してみることが大切です。