「急性痛」は「冷やす」が正解
反対に、急性痛のときこそやるべきことは、以下のとおりです。
<急性痛のおすすめ対処法>
◯ 氷などで患部を冷やす
◯ 安静にする
◯ コルセットを着用する
◯ 痛み止めを飲む
◯ 冷湿布を貼る
腰が痛いとき、温めるべきか? 冷やすべきか?……これはよく尋ねられる質問ですが、「急性痛は冷やす」が正解です。炎症の度合いにもよりますが、氷嚢などを使って30分くらい冷やすといいでしょう。
また、コルセットや痛み止め、冷湿布を使用するのも有効です。ただしこれらはあくまでも「急性時」での使用を推奨します。長期間継続して使用するのは避けましょう。
一般的に、急性の腰痛は1週間~2週間程度で治ることが大半です。ギックリ腰でもこれくらいで治ります。そのため、2週間を超えてもコルセットや痛み止め、湿布が必要であるなら、それは急性痛ではない可能性があります。必ず整形外科を受診し、診察してもらいましょう。
慢性痛で大事なのは、慢性痛に“ならないため”になにをするか
腰痛は、慢性痛になってしまったものを治すのはとても難しいため、その手前で解消しておくことが重要です。したがって、たとえば筆者が腰の痛みを感じたときは、「慢性痛にならないためになにができるか」ということを重視します。
そのための対処法としては、下記のようなものが考えられます。bb
<慢性痛にしないための対処法>
〇 薬物療法
〇 運動療法
〇 認知行動療法などのメンタルアプローチ
これらを組み合わせながら痛みを緩和していきます。特に重要なのは運動。まずはストレッチやウォーキングなど軽度なものからスタートし、少しずつ運動強度を上げて運動機能の低下や可動域の縮小を防ぎます。
慢性痛は「脳の勘違い」が原因の場合も…
また、見逃されがちですが、「認知行動療法」などといったメンタル面のアプローチも非常に重要です。なぜなら慢性痛は、脳が痛みを作り出していることも多いためです。「物事の考え方」や「捉え方」を変えて脳のクセを改めることが、痛みの改善には必要になってきます。
たとえば、歩くと腰が痛んでしまう場合、「痛くなったらどうしよう」という不安を感じ、「歩きたくない」と引きこもりがちになってしまいます。その結果、筋力や体力が衰え、気分も落ち込み、ますます痛みに対して過敏に反応するようになるのです。
しかし、そうではなく、「痛いから長い距離を歩けなかった」を「痛くても短い距離なら歩けた」という思考に変えることが大切です。できなかったことを悲観するのではなく、できたことに注目する「ポジティブシンキング」の習慣をつけることで自信がつき、運動にも積極的に取り組むようになります。その結果、筋力や体力がついて、痛みを感じることも少なくなってくるでしょう。
精神的な疾患で腰痛を引き起こすケースは、決して珍しいものではなく、むしろ深い関係があります。外的な対処法はもちろん、内面からのアプローチも大切です。
多くの慢性痛は、以上の対処法が有効です。ただし気をつけたいのが、以下の2つの痛みです。
・安静にしていても痛い
・夜間に痛む
安静にしていても痛い、夜間に痛む……こうした症状が続く場合は“レッドフラグ”。もしかすると、がんをはじめとする内科的な疾患が隠れているかもしれません。特にがんの痛みは、夜間に現れることが多いとされています。
気になる症状がある場合は早めに整形外科を受診し、痛みに対して的確に診断をつけてもらうことをおすすめします。
越宗 幸一郎
横浜町田関節脊椎病院
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