継続的な超低金利と、物価上昇が見込まれる現在の日本において、資産運用の重要性はかつてないほど高まっています。しかし「投資」に高いハードルを感じ、なかなか資産運用を始められない人も多いようです。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、資産ポートフォリオ「現預金100%」の39歳・会社員を例に挙げ、投資デビューを考えている人が押さえておくべきポイントについて解説します。
投資家デビュー大調査!投資金額は「100万円未満」が半数、投資したのは「国内株式or投資信託」が圧倒的だが…初心者が注意すべき<6つのポイント>とは? (※写真はイメージです/PIXTA)

投資家デビュー時の投資金額「100万円未満」が約半数

23年7月に行った調査によると、少額の資金で投資家デビューをした人が大半を占めるという結果が出ています。

 

 

調査結果をみてみると、投資を始めたときの投資金額は「100万円未満」という人が48.8%と半数近くに上ります。より細かくみると、「50万円未満」が39.9%、「10万円未満」が23.4%でした。

 

多くの現預金を抱えていても、ほとんど利息は得られず、したがって資産が増えることもない昨今、佐藤さんのように多くの現預金を抱えている人は、投資に積極的になるべきかもしれません。いきなり高いリスクを取って短期的に大きな利益をめざすのではなく、低リスクな安定商品に分散投資すれば、リスクはコントロール可能です。

 

さらに少額でコツコツと長期運用することで、「ドルコスト平均法」のメリットを享受でき、時間的にもリスクを分散できます。本来、資産形成とは早期に小さく始めて、長期的な目線で安全に資産を増やしていくものなのです。

投資デビューは国内株式/投資信託が多い

続いて、投資デビューした人が、最初はどんな商品に投資したのかをみていきましょう。

 

 

 

上のグラフの通り、最初の投資は1位が国内株式で48.2%、2位が投資信託で32.0%と、上位2つが全体の8割を占める結果になりました。前出の調査と組み合わせると、投資家としてのデビューに際しては、「100万円未満の資金で国内株式か投資信託を購入する」ケースが多いことがうかがえます。

 

なお、10万円未満で投資デビューした人に限定して集計すると、1位は投資信託の43.7%、2位が国内株式の39.4%でした。リスク分散もでき、少額から始められることから、投資信託を選択する人が多いのかもしれません。

 

ちなみに日本証券業協会が行った調査によると、2018年にスタートしたつみたてNISAの口座数は、2023年3月末時点では540万口座※1までに大きく増加しています。また下のグラフにあるように、そのうち投資未経験者(2017年10月1日以降に証券総合口座を開設した者)の割合は89.9%※1ということです。

 

このデータからは、これまで投資をしていなかった層が、つみたてNISAの仕組みを利用して続々と積立投資に挑戦し始めている姿がみえてきます。

 

 

※1 出典元)日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年3月31日現在)について」https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/files/nisajoukyou/nisaall.pdf

 

投資は小さく始めて経験を積むことが重要

投資には、まとまった資金が必要というイメージを持っている人がいるかもしれません。しかし、ここまで紹介したデータをみて、「投資って意外と少額で始められるんだ」と感じた人も多いのではないでしょうか。

 

もし、「いつかは投資を」と考えているのであれば、いますぐに始めてみることをおすすめします。

 

佐藤さんは初心者であることを気にしていましたが、最初は誰でも初心者です。始めなければずっと初心者のままですから、早めに最初の一歩を踏み出すことが大切といえるでしょう。

 

上にみたように、多くの人は小さく投資を始めています。最初から大きな金額を投じる必要はないわけです。投資にはまとまった資金が必要だというイメージは捨てて、小さく始めて経験を積んでいくことを意識しましょう。