昨今、問題視されている「闇バイト」。何気なく応募した結果、グループから抜け出すことができずに犯罪に手を染めてしまう、しかも逮捕されるのはいわゆる捨て駒。元締めの検挙率は非常に低いのが現状です。そんな闇バイトに、なぜ若者は応募してしまうのでしょうか。みていきましょう。
捕まえてくれてありがとう…「闇バイト」10人に1人が「生活困窮」で応募「使い捨てされる」若者たちの実態 (写真はイメージです/PIXTA)

闇バイトに手を染めてしまう若者たち…背景にある貧困問題

なぜ、ここまで騒がせている「闇バイト」に若者は応募してしまうのでしょうか。警視庁によると、10代の犯行で最も多いのが「遊興費欲しさ」によるもので58%。一方で「生活困窮」が10.7%と、10人に1人は生活苦を理由に犯罪に手を染めてしまっています。

 

厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査』によると、貧困線は127万円。子どもがいる現役世帯の貧困率は15.4%。大人が1人場合、貧困率は44.5%で半数近くにもなります。一方で大人が2人以上の場合でも貧困率8.6%と、11~12世帯に1世帯の割合で貧困状態にいます。親が貧困のため子どもも生活に困窮。そのような生活から抜け出そうと、犯罪に手を染めてしまう、というわけです。

 

*等価可処分所得(世帯の可処分所得(収入から税金・社会 保険料等を除いたいわゆる手取り収入)を世帯人員の平方根で割って調整 した所得)の中央値の半分の額

 

また全国大学生協連が2022年に行った『第58回学生生活実態調査』(参加:115大学生協、回答:2万1,780名)によると、下宿生の「仕送り」はコロナか前から5,160円、「アルバイト代」は1,260円減少し、食費や電話代等の減少で補填。暮らし向きは「苦しい方」が8.1%と前年より1.7ポイント増加しました。また主な家計支持者の収入が「減少した」は10.7%と多数派ではないにしろ、生活に困窮する学生の暮らしぶりが垣間見られます。

 

前述の警察庁の資料では、検挙された少年たちの声として、「もっと早く引き返せばよかった」「家族に相談すればよかった。止めてくれて(捕まえてくれて)ありがとうございます」「今後も犯行グループからしつこく誘われないか、家族に影響が及ばないか と思うと不安で仕方ない」など、不安や後悔の念が綴られています。子どもたちに、このような思いをさせないためにも、周囲に大人たちがしっかりと注意を払う必要があります。