地球温暖化対策として、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指しています。これは、人為的に生み出される二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、人為的な植林・森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。そこで政府は、脱炭素社会に向けた良質な住宅ストックの形成を図るため、長寿命でライフサイクルCO2排出量が少ない「 長期優良住宅」や高度な省エネ性能を有する「低炭素住宅」の普及を促進するため、これらの住宅に減税や金利優遇などのメリットを設けています。具体的に「長期優良住宅」「低炭素住宅」はどのような住宅で、認定されるとどのようなメリットがあるのでしょうか。みていきましょう。
税制優遇や補助金も!「認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」それぞれのメリット (※写真はイメージです/PIXTA)

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長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態を保てるように講じられた質の高い住宅のことで、2011年6月に新築を対象とした認定が開始され、2016年4月より既存住宅の増築・改築を対象とした認定も開始されました。長期にわたり良好な状態を保つため、構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性にそれぞれ基準が定められています。

 

◆長期優良住宅の認定基準

1. 劣化対策

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること

 

2. 耐震性

極めてまれに発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること

 

3. 省エネルギー

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること

 

4. 維持管理・更新の容易性

構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること

 

5. 可変性(共同住宅・長屋)

居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること

 

6. バリアフリー性(共同住宅)

将来のバリアフリー改修に対応できるよう共同廊下等に必要なスペースが確保されていること

 

7. 居住環境

良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること

 

8. 住戸面積

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること

 

9. 維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること

 

10. 災害配慮

自然災害による被害の発生の防止または軽減に配慮されたものであること

 

長期優良住宅(新築)の認定基準[概要]

 

長期優良住宅(増築・改築)の認定基準[概要]

 

長期優良住宅のメリット

税制優遇

◆所得税(住宅ローン減税)

年末ローン残高の控除限度額が引き上げられ、13年間における所得税と住民税からの最大控除額が一般住宅だと273万円だが、長期優良住宅ならば455万円に増えます。

※2023年12月31日までの入居の場合

 

◆所得税(投資型減税)

ローンを使用しない場合は投資型減税の一択になります。

長期優良住宅の認定を受けるための標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%を、その年の所得税から控除。

※2023年12月31日までの入居の場合。住宅ローン減税との併用不可

 

◆登録免許税

一般住宅より税率が引き下げられる。

保存登記 0.15%→0.1%

移転登記 一戸建て 0.3%→0.2%

マンション 0.3%→0.1%

※2024年3月31日までに登記申請した場合

 

◆不動産取得税

一般住宅より課税標準から控除される額が増える。

1200万円 → 1300万円

※2024年3月31日までに取得した場合

 

◆固定資産税

税額が1/2減額される特例の適用期間が延長される。

一戸建て 1~3年間 → 1~5年間

マンション 1~5年間 → 1~7年間

※2024年3月31日までに新築した場合

 

ローン金利の引き下げ

◆フラット35S(金利Aプラン)

フラット35の金利から、当初10年間0.25%引下げられる

 

[試算例]

借入額3000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利1.30%の場合

 

補助金

◆地域型住宅グリーン化事業

国土交通省の採択を受けた施工事業者グループが建てた省エネルギー性や耐久性などに優れた新築・中古の木造住宅(低炭素住宅、長期優良住宅・ZEH住宅【ネット・ゼロ・エネルギー住宅】など)に対して補助金が交付される制度です。

 

なお、補助は建築の依頼する発注者ではなく、採択を受けたグループに対して行われ、発注者はグループを通じて間接的に補助が受けられる仕組みです。

 

令和3年度住宅タイプ別の補助上限額

 

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