全世代の共通の関心ごとといえば、将来の年金額。現役引退後の生活基盤ですから、「いったい、いくらもらえるんだろう……」と不安になるのも頷けるでしょう。簡単にシミュレーションすることもできますが、その結果は「見せかけ」の金額で、実際に手にできる年金額とは乖離があるといいます。みていきましょう。
平均年金30万円だが…65歳・元共働き夫婦がもらえる「本当の年金額」 (写真はイメージです/PIXTA)

老齢年金は課税対象…実際にできる年金の手取り額、さらに20年後には目減り予想

平均的な共働き夫婦で、月31万円ほどの年金額。これだけあれば、高齢夫婦ふたり、十分暮らしていけそう……そう考えるでしょう。ただ、これは短絡的な話。31万円というのは給与でいえば額面。公的年金のうち、老齢年金は65歳未満で108万円以上、65歳以上であれば158万円以上で課税対象で、所得税は以下の式で算出します。

 

所得税=(年金額-社会保険料控除など各種控除)×5.105%(所得税率5%×復興特別所得税1.021)

※1円未満は切り捨て

 

所得税は、社会保険料や各種控除(配偶者控除や扶養控除、特定扶養親族控除など)を引いた金額に課税されます。実際に手にする年金は額面の85%〜90%程度となり、前出の夫婦であれば二人で26万円程度になります。

 

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、夫婦ともに65歳以上、かつ無職の1ヵ月の生活費は23.6万円。共働き夫婦であれば、税金など引かれた手取り額でも十分暮らしていけそうです。

 

年金だけで十分という誰もが憧れる悠々自適な生活が、夫婦共働きであれば叶う……しかし、そういっていられるのは今のうちだけかもしれません。

 

政府の試算では、2040年半ばくらいには「年金は2割目減りする」としています。つまり、現在、手取り月26万円の年金を手にしている平均的な共働き夫婦であれば、月手取り20万円強になってしまうということです。

 

このとき、生活費が現在と同額だとしても、月2万~3万円の赤字になる計算。「年金だけで暮らす」という夢は、平均的な共働き夫婦では叶わなくなる可能性があるのです。

 

もちろん、これはあくまでもシミュレーション上の話。年金だけで暮らせそうでも、ちょっと無理かもしれなくても、収入のほとんどが公的年金になってしまう日本人の老後。不測の事態に備えて、万全に備えておくことが肝心です。