「人生100年」といわれる時代、年金だけでは豊かな老後を過ごせないという認識が広まっており、定年後も、働きながら充実した人生を過ごすという生き方が、現実的な選択肢になってきています。そのためには、まず、何から始めればよいのでしょうか。FPの浦上登氏による著書『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)から、一部抜粋してご紹介します。
平均年金月額15万円だが「サラリーマン」は定年後も働くと減額のおそれ…満額受け取りたいなら「個人事業主として独立」がおすすめ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社に残るなら、給与と年金の合計を月48万円以内に収め「副業」を

「会社に残る」という選択をしたときに、覚えておいていただきたいことがあります。

 

これは、勤務延長制度や再雇用制度で働き続ける場合でも、年金の「基本月額」と給与の「総報酬月額相当額」の合計を48万円以内に抑えると、年金を全額もらいながら働くことができるということです。

 

こういわれても、いったい何のことだと思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

会社員の方が受け取る老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の二種類があります。

 

そのうち、老齢厚生年金には、厚生年金保険への加入期間と保険料を支払った期間の給与の額に応じてもらうことのできる「報酬比例部分」と加給年金、経過的加算などの受給者の状況に応じて加算される「加算部分」に分かれます。

 

この場合の年金の「基本月額」とは、老齢基礎年金や加算部分を含まない老齢厚生年金の報酬比例部分の毎月の支給額をいいます。(年金加入者に対して送付される「ねんきん定期便」を見ればわかります。)

 

給与の「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割ったものの合計です。(自分の標準報酬月額や標準賞与額がいくらかは、厚生年金保険料の支払担当の会社の人事・勤労部門に確認すればわかります)

 

もし、詳細な点でよくわからないことがあれば、年金事務所に問い合わせることをお勧めします。

 

これらの合計額を月48万円以内に抑えると年金が全額支給されます。

 

すなわち、年金を全額もらいながら会社で働くことができるということになります。

 

これは60歳以降特別支給の老齢厚生年金をもらう方、65歳以降、本来の老齢厚生年金をもらう方、両方に当てはまります。

 

これは、今後年金の計算をする上で重要なので、よく覚えておいてください。

 

それでは、厚生年金受給額の平均値はどのくらいでしょうか?