高齢化の進行に伴い、老後資金が足りなくなるリスクが懸念されます。それに対処するための有効な方法の一つが「投資」です。しかし、投資は損をする危険と隣り合わせなので、失敗しないための一定のルールを固く守ることが大切です。そのルールとはどのようなものでしょうか。FPの浦上登氏による著書『70歳現役FPが教える 60歳からの「働き方」と「お金」の正解』(PHP研究所)から一部抜粋して紹介します。
投資で守るべき「鉄則」と、勧められても手を出してはならない「3タイプの商品」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「投資」と「投機」は違う

お金を増やすことには、「欲」が絡みます。100万円を200万円にしたい、300万円にしたいという「欲」は誰しも持っています。ただ、そういうことが、簡単にできるわけではありません。

 

投資で失敗しないためには次の2つのルールを守ることが重要です。

 

【投資で失敗しないためのルール】

1. 決してギャンブルをしない

2. お金を増やすための方法論をしっかり持つ

 

この2つのルールは投資の世界を取り巻くいろいろな危険に飲み込まれないための鉄則だと思ってください。

 

ルール1. 決してギャンブルをしない

決してギャンブルをしてはならないと思っている方は多いと思います。しかし、心の底では投資はギャンブルに近いと思っていませんか?

 

知人から、たまたま買った株が急騰して2〜3日で100万円儲けたという話を聞くと、私にもそんな幸運が来ないかなと思いませんか?

 

もし、100万円儲けられるのなら、少しぐらいのリスクを冒してもいいなと思ってはいないでしょうか?

 

そういう気持ちを持つと、投資の世界の周りにある「危険」の餌食(えじき)になってしまいます。

 

ルール2. お金を増やすための方法論をしっかり持つ

そうならないためには、お金を増やすための方法論をしっかり持つことが必要です。

 

具体的に言うと、たとえば、「ドルコスト平均法」を使った「長期積立」によるインデックス・ファンドへの「分散投資」です。

 

「ドルコスト平均法」にも「長期積立」にも「分散投資」にも、理論的根拠があります。

 

「ドルコスト平均法」は、毎月一定額を投資することで平均購入単価を低く抑えることができるというものです。株価が安いときは多くの株式が買え、株価が高いときは少ない株式しか買えないので、平均購入単価が安くなるのです。

 

また、「長期積立」をすることで時間のリスクの分散ができます。インデックス・ファンドへの「分散投資」は銘柄・地域のリスクの分散ができます。

 

これらは単なるルールではなく、実績と理論的な裏付けに基づいた方法です。

 

しかし、その方法を守ったからといって、2〜3日で100万円を儲けることはできません。

 

たとえば、アメリカの株式動向を示す「S&P500インデックス」は1979年12月から2023年3月までに約36倍になり、年率複利に換算すると、その上昇率は8.64%にもなります。これだけ上がれば大成功なのです。

 

NISAやiDeCoの試算で、投資信託で年率3%のリターンで計算している例がありますが、損をするリスクのある投資の世界では年率3%でも優良の部類に入ります。

 

年率3%で10年複利運用をすると1.34倍になります。銀行の定期預金は最も良いもので年率0.3%、これを10年複利運用できたとしても、1.03倍にしかなりません。