大学などへの進学を考えると金銭的な不安が……そこで味方になってくれるのが「奨学金」です。しかし、のちに返済しなければならない奨学金の場合、その後の人生に大きな影響を与えるケースも。みていきましょう。
「借金のあるやつに娘はやれん」「えっ!?」…奨学金返済が結婚を阻む、残念な日本の実情 (写真はイメージです/PIXTA)

年収600万円でも「奨学金の返済に不安」…58.7%

同調査で「奨学金返済の負担感」を尋ねたところ「苦しい(「かなり苦しい」「少し苦しい」の合計)」が4割。年収が少ないほど負担感は大きくなり、「年収300万円以下」で5割に達する一方で「400万円以上」でも4割程度が奨学金返済に負担感を覚えています。

 

また「返済に関する今後の不安」について尋ねたところ、「不安(「かなり不安」「やや不安」の合計)」は69.7%。また正規社員に限定しても60.2%、さらに本人の年収が「600万円以上」であっても58.7%が「不安」と回答しています。

 

厚生労働省によると、大卒会社員(平均年齢41.3歳)の平均給与は月収で36.2万円、年収で587.1万円。現在の結婚適齢期である30代だと、30代前半で月収30.4万円、年収504.6万円、30代後半で月収35.3万円、年収585.6万円。平均的な給与水準の大卒会社員であっても、貸与型奨学金を利用していれば、その6割程度が「奨学金返済に不安を覚えている」ということになります。これでは結婚に及び腰になるでしょうし、たとえ結婚に前向きになれても、相手やその親に「奨学金返済を抱えている人と結婚なんて不安だわ」と思われても仕方がありません。

 

奨学金の返済を理由に結婚が遠のくという、なんとも残念な日本の現状。

 

一方で、奨学金返済の負担から解放されれば、結婚に前のめりになる人も少なからずいるということです。国内の出生率の向上のためには、色々な課題を解決しなければなりませんが、奨学金の問題をクリアにすることは、その第一歩になるかもしれません。