年金繰り下げ受給で「加給年金1,080万円」がパーに!?…58歳と40歳の年の差夫婦「将来の年金受給額」を増やすには【FPが解説】

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年金繰り下げ受給で「加給年金1,080万円」がパーに!?…58歳と40歳の年の差夫婦「将来の年金受給額」を増やすには【FPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「年金を増やす方法を知りたい」とFP事務所を訪ねた安田夫妻(仮名)。夫の健二さんは58歳の会社員、妻の聡美さんはパート勤めの40歳です。株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役の山中伸枝ファイナンシャルプランナーは、「年金を増やす方法は3つある」といいますが、どれが安田夫妻にもっとも適しているのでしょうか。安田夫妻の事例をもとに、年金を増やす方法についてみていきましょう。

「会社勤めを延長」して年金を増やす

年金を増やす方法2つ目は、「会社勤めを延長する」です。これは、「厚生年金に加入して働く」という意味です。

 

老齢厚生年金は、厚生年金に加入した期間に応じて増額される仕組みになっています。年収に対して約0.55%ずつ増えていきますので、仮に年収300万円で70歳まで働くと、60歳の定年後10年間で16.5万円老齢厚生年金が増額できます。

 

学生のころに年金保険料を支払っていない期間がある健二さんの場合、60歳以降、厚生年金に加入して働くと「経過的加算」という仕組みにより、過去の未納期間が穴埋めされ、その分老齢基礎年金に相当する金額が老齢厚生年金で増額されるという特典もあります。少しでも年金を増やしたいという方には朗報です(詳しくは年金事務所で相談されることをおすすめします)。

 

65歳までに増やした老齢厚生年金は、「繰り下げ受給」の対象となります。一方、65歳以降働いた分の老齢厚生年金増額分は、「定時改定」と呼ばれ繰り下げの対象とはなりませんが、都度老齢厚生年金に上乗せされます。

 

ただし、ここでも老齢厚生年金を繰り下げ受給していると“上乗せ”される土台がなくなるため、「繰り下げ受給による増額率」を選ぶのか「働き続け、定時改定による増額を狙うか」を選択する必要があるでしょう。

 

この「働いて増やす」方法は、聡美さんにもおすすめです。聡美さんは専業主婦ののち一定額を超えないようパート勤めをしているため第3号被保険者にあたりますが、実はパートの仕事をもう少し増やしたいとお考えだそうです。

 

聡美さんの「第3号被保険者」という立場は、ご主人が65歳になると終了します。そうすると、聡美さんは「第1号被保険者」に異動しご自身で国民年金保険料を負担することになります。ここで注意すべきポイントは、「第3号被保険者(保険料免除)」から「第1号被保険者(国民年金保険料を自身で払う)」に変わったとしても将来受け取れる年金額は増額にならないということです。

 

したがって、ご自身で厚生年金に加入して働くほうが、老齢厚生年金の増額にもつながるためメリットが大きいでしょう。仮に、現在40歳の聡美さんが60歳までの20年間年収300万円で働いたとすると、33万円の加算となります。聡美さんには加給年金の上乗せがありませんから、長生きに備え働いたうえでさらに繰り下げ受給を検討するのもいいかもしれません。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。