クーラーなんてつけられません!なんともひもじい、日本の高齢者の懐事情
命の危険にさらされるこの夏、高齢者が冷房の効いた近隣のスーパーに避難するのもうなづけます。
ただ、クーラーをつけるのをためらい、ランチを持参でずっとスーパーにいるというのも、なんとも切ない話。しかし日本の高齢者の懐事情を考えると、仕方がないことかもしれません。
厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は老齢厚生年金で月14万5,665円。また国民年金受給者の平均年金受給額は老齢年金で月5万6,479円です。
一方、総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、65歳以上の単身高齢者の消費支出は平均月14万9,208円。平均的な年金額だとすると、厚生年金で手取りは12.3万~13.1万円。月2万~3万円ほどの赤字になる計算です。
赤字になる分は貯蓄を取り崩して対応するのが一般的。厚生労働省『2022年 国民生活基礎調査』によると、60代の保有資産*は平均1,960万円、中央値で950万円。70歳代では平均2,008万円で、中央値では1,000万円。65歳で年金生活に突入し、月3万円の赤字になる高齢者の場合、ちょうど半数が92歳で貯蓄が底をつく計算です。
*定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または 将来に備えて蓄えている部分で、実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分は除く
平均寿命は超えているものの、長生きしたときは悲惨。「貯蓄がまったくない」という不安を抱きながら、生きていかなければなりません。「長生きするって大変ね」、そんな高齢者の声が聞こえてきそうです。
さらに、「そもそも貯蓄なんてありません」という人たちは、60代で28.5%、70代で28.3%。約3人に1人は取り崩す貯蓄すらなく、ただ節約し、耐え忍ばないといけないのです。
そしてこの物価高。高齢者に対する支援で75歳以上の高齢者に1人あたり5,000円程度の給付金を支給していますが、「焼け石に水にしかならない」という声も。涼を求めてスーパーで四六時中過ごす高齢者が増えそうです。