「不動産価格、バブル超え」というニュースをたびたび耳にする昨今。これから住宅購入を検討する人たちにとっては、耳の痛い話題です。どんどん遠のいていくマイホーム、その先に待ち受けるものとは?
平均年収550万円では…「ローン破綻」が激増する、日本の絶望的未来 (写真はイメージです/PIXTA)

どんどん遠のくマイホーム…それでも「家を持ちたい日本人」の末路

不動産経済研究所『首都圏新築分譲マンション市場動向』(2023年5月)によると、戸当り平均価格は8,068万円。東京23区に限ると平均1億円超え。神奈川県で6,000万円、都下、埼玉県、千葉県で5,000万円ほどとなっています。

 

一方で厚生労働省の調査によると、サラリーマンの平均給与は月収で34.2万円、年収で554.9万円。首都圏で新築マンションを買おうとすれば年収倍率(購入者の年収と物件購入価格の比率)は14倍にもなり、東京23区では20倍超え。神奈川県や東京都下でも10倍近くになります。年収倍率の適正値は5~7倍といわれているので、普通のサラリーマンでは、適正な範囲で首都圏のマンションを買えないということになります。

 

それでも「どうしても、マイホームがほしい」となると、(銀行が貸してくれるだけ借りて)無理して購入を決断するか、夫婦共働きでペアローンを活用するか、選択肢は限られてきます。しかも、このような買い方をすると、「夫の給与が減少→ローン破綻」「妻が子育てを優先するためにパートに→収入減少→ローン破綻」などと、ローン破綻のリスクが劇的に高まります。

 

2000年代以降、サラリーマンの平均給与(月収)の推移は以下の通り。まったく変わっていません。一方、住宅価格は右肩上がりで天井知らず。このままでは「無理をして家を買う」がスタンダードとなり、ローン破綻を迎える日本人が急増……そのような未来も、決して絵空事ではないのです。

 

【サラリーマンの給与(月収)の推移】

2000年:33.7万円

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2005年:33.8万円

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2010年:32.8万円

2011年:32.8万円

2012年:32.9万円

2013年:32.6万円

2014年:33.0万円

2015年:33.5万円

2016年:33.5万円

2017年:33.6万円

2018年:33.8万円

2019年:33.8万円

 

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より

※数値は、学歴計・男性の所定内給与額

 

持ち家志向の高い日本人。一般人でも無理なく夢を叶えられるよう、住宅価格の上昇を上回る賃上げが期待されます。