将来を見据えて資産形成を進めるにはいくつかの方法があります。給与所得を増やすこともそのひとつ。今働いている会社で出世を目指すことはもちろん、転職という手も。そのとき気になるのは、業界のトップランナー企業の給与事情です。今回は総合スーパー2社で働くリアルな社員たちの声を元にした給与額をみていきます。
「イオン」vs.「イトーヨーカ堂」…総合スーパー2強、社員が答えた「リアルな給与額」 (写真はイメージです/PIXTA)

総合スーパー業界、最大のライバル企業「イオン」と「イトーヨーカ堂」

経済産業省『商業動態統計調査(2023年2月15日)』によると、2022年のスーパーの販売額は15兆1,536億円。前年比1.0%増でした。一方、総合スーパー、スーパーマーケットなどのチェーンストアの業界団体である日本チェーンストア協会によると、2022年度の同協会会員企業の総販売額は13兆2,727億円で、こちらも前年比1.0%増(店舗調整後:既存店ベースの伸び率)となりました。専門店やインターネット通販の影響を受け、特に衣料品の販売で苦戦が続く総合スーパーですが、コロナ禍の内食需要の恩恵を受け、近年は堅調に推移。コロナ禍の行動規制が解除されたこれからは正念場、といったところでしょう。

 

そんなスーパー業界のトップランナーが「イオン」と「イトーヨーカ堂(セブン&アイ・HD)」。売上業界トップのイオンは約5兆7,000億円。続くイトーヨーカ堂(スーパー関連の部門売上高)は約1兆8,000億円ほど。続くライフは1兆円に届いておらず、まさに業界はこの2強体制といっても過言ではないでしょう。

 

業界をリードする2社ですが、最近、正反対の戦略を発表したことで話題になりました。イオンは自社プライベートブランド(PB)の「トップバリュ」を活用し、一部メーカー品を含めて約1万種類の衣料品をシニアや若者向けなど顧客層に応じて6種類に分けて、それぞれ店舗展開、2023年から30年までに240店の出店を目指すとしています。一方でイトーヨーカ堂は衣料品事業から撤退することを決定しました。ジリ貧の総合スーパーの事業改革として、食料品中心に展開するといいます。

 

イオンは総合スーパーとSCで約520店を持ち、PB衣料を扱うスーパーやホームセンターを入れると全国で1万店を超えるといいます。客層にあった細かなニーズに応え、食品と衣料品の同一機会での購入を促すことが狙いだとか。一方でイトーヨーカ堂にとって衣料品は祖業。1920年開業の洋品店「羊華堂」が原点といわれていますから、まさに苦渋の決断。「セブン&アイ・HD」としては、好調なコンビニ事業に資源を集中する考えです。