FPが行った「3つ」の助言
Pさんに確認したところ、年収は徐々にではありますが増えているそうです。とはいえ、新型コロナウイルスやインフレ、ウクライナ侵攻など予想だにしない出来事が立て続けに起きている昨今、政治や経済状況しだいで先行きは不透明です。子どもの養育費やマンションの管理費・修繕積立金についても、値上がりする可能性があります。
Pさんのお話を踏まえて、筆者はPさんが確実に取り組めることを3点お伝えしました。
1.固定費の見直し
2.マンションの売却
3.資産形成(教育費・老後の資金)
1.固定費の見直し
すぐに取り組めることとしては、固定費の見直しです。具体的には、生命保険料、携帯電話などの通信費、音楽配信サービスや動画配信サービスといったサブスクリプションサービス、その他月額で払っている会員費などです。
こちらはすでにご夫婦で取り組まれていたようですが、FPを交えて改めて見直したことで、月々5万円ほど支出を抑えることができました。
2.マンションの売却
「資産価値の高い物件を」と選ばれただけあり、購入した物件の値段は下がっていませんでした。せっかく時間をかけて探した理想のマンションでしたが、意外にもPさんは売却することにためらいはなく、無事に購入した金額の6,500万円で売却することができました。
「プレッシャーがなくなりました」と、売却後のPさんは晴れやかな顔でおっしゃいました。
持ち家から賃貸住まいとなりましたが、先述した固定費の見直し効果もあり、収支は毎月4万円の黒字と大きく改善できました。
3.資産形成(教育費・老後の資金)
収支が改善できたことで、毎月貯蓄ができるようになったため、将来に向けて資産形成のご提案をしました。
Pさんは仕事が忙しく、手のかからない投資を希望されていたのでAIが全自動で運用してくれる「ロボアドバイザー」というサービスをご紹介しました。月々1万円から積み立て投資ができ、余剰資金があればまとまった金額を一括投資することも可能です。
iDeCoやNISAの場合は商品を選ぶ必要がありますが、ロボアドバイザーではいくつかの質問に答えるだけで、その人に合ったポートフォリオを自動で生成してくれます。さらに、いつでも途中解約して出金できる手軽さもあることから、Pさんは積み立て投資からスタートされました。
◆まとめ
憧れの持ち家を手放すことにはなりましたが、今回の反省をもとに「自宅についてはまたタイミングをみて検討します」とPさんは前向きです。
人生100年時代の昨今、持ち家は「資産」となるように慎重に選択する必要があります。Pさんは共働きができなくなり、家計の余裕がなくなったために売却することになりました。マイホームを検討する際には、その先のライフイベントを見据え、ゆとりをもって検討する必要があるでしょう。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役