都内に住む世帯年収1,400万円の39歳パワーカップル。同じ会社の同期で結婚し、産休・育休や時にはベビーシッターを利用しながら子育てに励み、夫婦ともにフルタイムで働いています。ある日、小学校5年生になる息子から「塾を辞めたい」と相談が。いったいなにがあったのか……株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、いまの時代けっして他人事とはいえないある家族の事例を紹介します。みていきましょう。
世帯年収1,400万円の都内在住・39歳パワーカップル…小5息子の「お母さん、僕もう塾に行きたくない」に“2つの意味で”涙したワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

一見「勝ち組家族」にみえたO一家だが…ある日、息子に訪れた「限界」

Oさん家族は都内に住む世帯年収1,400万円の39歳パワーカップルです。同じ会社の同期で結婚し、産休・育休や時にはベビーシッターを利用しながら子育てに励み、いまはフルタイムで共働きをしています。ご夫婦ともに責任のある立場で、朝から晩まで働き詰めです。

 

父親であるOさんは、家でよく「上司の〇〇は無理なことを平気で言う」「部下の××は仕事が遅い」と会社の愚痴をこぼしていたようです。休日にも出勤することが当たり前の生活で、家族3人が一緒に食事をすることはほとんどありませんでした。

 

休日にも出勤するのが普通の生活なので、世間では長期の連休であっても家族で旅行へ行ったり観光地へ出かけたりすることもありません。

 

息子さんが父親に「〇〇して遊ぼうよ」と声をかけても、「今は忙しいからあとで」「今日は疲れているから今度」とあしらわれ、遊んでもらえる機会はほとんどなかったそうです。

 

また、母親も仕事をしながら家事もしているので、いつも忙しそうにしています。子どもとの時間を持ちたいとは思いつつも、受験や進学費用などの教育費のことを考えると仕事を抑えることもできない状態です。

 

そんなある日、母親が仕事から帰宅すると、小学校5年生になる息子が珍しく玄関まで迎えに来てくれました。そして、おかえりという言葉ではなく「塾を辞めたい」と元気がない様子で、しかし確固たる意志をもって伝えられたそうです。

 

息子さんは普段、母親から「しっかり勉強して良い点数を取らないと大人になってから大変よ」「たくさん勉強して良い学校へ行かないと、パパとママみたいに良い会社へ入れないよ」と言い聞かせられていました。

 

母親からすると、「今のような格差社会の世の中では良い学校へ入学しておかないと、落ちこぼれて大変な思いをしてしまう」と、息子につらい思いをさせたくないという気持ちがあります。「息子のために」と塾へ通わせ、繰り返し勉強する必要性を伝えてきたつもりでした。そしてなにより、母親は息子自身も楽しそうに塾へ通っていたと思っていたため、ひどく驚いたそうです。

 

ところが、息子さんは確固たる決意で「もう通いたくない」と言ってききません。どうすれば息子が塾を辞めずに済むのか……説得すべく、母親は息子に辞めたい理由を問いただしました。