「年収の8倍以内だから大丈夫!」と6,000万円のマンションを購入するも…
年収690万円の会社員Qさん(42歳)は、現在年収約100万円のパート勤めの奥さんと長男(13歳)、次男(9歳)の4人家族です。
28歳のときに当時同じ会社に勤めていた妻と結婚し、翌年に長男が誕生しました。子どもの誕生をきっかけにマイホームを意識するようになり、年収も少しずつ増えていたため、長男が2歳のときに念願のマンションを購入。場所は都内近郊の住宅地です。
落ち着いた雰囲気の街で、特に奥さんが気に入っていました。金額は6,000万円と高額で悩みましたが、ネットで「年収の8倍まではローンを組んでも大丈夫」という記事を発見。当時のQ夫妻の世帯年収に8をかけると6,000万円以上になったため、「8倍以内におさまっているし、大丈夫だろう」と思い切って購入を決断しました。
当時は妻もフルタイムで仕事をしており、子どもも1人だったため返済のめどは立っていましたが、翌年に第2子の妊娠が発覚。夫婦2馬力で働くことが難しくなってしまいました。それでも、「なんとかなるだろう」と楽観的なQさんでしたが、子どもたちの成長とともに教育費もかさんでいきます。
家計に不安を覚えたQ夫妻は、少しでも生活費を抑えようと、テレビやSNSを参考に「お風呂の残り湯で洗濯」「電気をこまめに消す」「トイレットペーパーはダブルではなくシングルを使う」「スマホは格安SIM」「食材は業務用をまとめ買い」「外食はしない」「ポイ活をする」「リサイクル品を活用」といった工夫を重ねました。しかし、その効果はほんのわずかで、貯蓄はなかなか増えません。
また、趣味の「釣り」もいまや、節約に活用しています。
Qさんはもともと、休みの日には友人とよく川釣りへ出かけ、釣った魚と手頃なカップ酒で晩酌するのがなによりの楽しみでした。
子どもたちが小さいころは家族でも釣りへ出かけ、ハマチやアジなどを釣って帰った日には楽しく食卓を囲んだものです。しかし、しだいに子どもたちが習い事を始めるようになるとその機会も減少。月々の収支に不安を抱え、現実逃避を兼ねて1人で釣りに行く頻度は増えたものの、釣りは「楽しい時間」から、「食料確保の時間」へとシフトしていきました。
節約にも限界があり、なんとかギリギリの生活を保っていますが、「このままではいけない」「なんとかしなければ」と妻と話し合ったQさんは、筆者のFP事務所に相談に行くことにしました。