WPW症候群のなかでも難治性であると診断…発作の状況が悪化
日本で二度目のカテーテルアブレーションを受けたものの、男性はステージでほんの一瞬だけ心拍数が非常に速くなることがあり、困り果てていました。
そんなとき、彼は私のクリニックを訪れました。術前診断で心電図を見ると、確かにWPW症候群のなかでも難治性のタイプで、恐らく心臓壁にある静脈血管内にケント束があるだろうと考えました。
血管はわずか2mmくらいの太さで、そのなかにカテーテルを挿入して焼灼をするというのは非常に高度な手技を要求します。母国で治療を受けた時には、おそらく、そのような難治性の治療に対する術式はまだ開発されていなかったのだろうと思います。
しかし近年、めざましい勢いでカテーテルアブレーションの医療機器は進化し、また術式も洗練されていますから、私には「三度目の正直で、今回は治療できる」という自信がありました。
三度目のカテーテルアブレーション。その結果は…
しかし患者さんは私の言葉を信頼しませんでした。「1回目も2回目も『必ず治せる』と言われたけれど、治らなかった。今度も同じじゃないのか」と、疑うのです。
しかし、奥様の説得もあり、三度目のカテーテルアブレーション治療を受けることを決意ました。
手術当日、私の見立て通り、焼灼するには非常に困難な冠静脈洞内に副伝導路がありました。しかし、現在では技術開発が進み、手術精度をさらに高める「三次元画像システム」など、先進機器を活用することができます。
無事、治療が終わってウソのように発作がぴたりとやむと、彼やそのご家族は「この病院の医師はマジシャンだ!」と喜びました。
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