多くの家庭では、子供の誕生とともに、教育費の準備を始めています。しかし、教育費の準備で間違った方法を選んでしまっては本末転倒です。本記事では、CFPの伊藤貴徳氏が、我が子の教育費準備を始めたAさん夫婦の事例とともに、正しい準備方法を解説します。
「月2万3,000円」子の教育費のために…月収50万円・36歳サラリーマンが選んだ「資産形成手段」にCFPが驚愕したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

30代夫婦が「iDeCo」で教育資金を準備してはいけない理由

運用をするにあたってメリットの多いiDeCoですが、最も注意すべき点は、原則60歳までは引き出すことができないという点です。一般的に、定年退職年齢である60歳以降の資金準備を目的とする制度のため、60歳までの途中引き出しに強い制限をかけています。

 

Aさん夫婦はともに36歳。現在2歳のお子様が大学に入学する時点で52歳のため、iDeCoで準備した教育資金を引き出すことはできません。最短でも、お子様が26歳のころにようやく引き出し可能となります。このことをお伝えすると、

 

「制度のメリットばかりに気を取られ、途中で引き出すことの条件について考えてもいなかったです」とショックを受けてしまいました。

資産形成の際は「目的」と「タイミング」がマッチしているかを確認する

貯蓄から投資へという言葉が徐々に浸透してきているなかで、iDeCoをはじめ積立NISAなど、資産形成に関する国からの優遇策はできるだけ活用すべきだと考えます。しかし、それぞれの特徴を理解したうえで、自分たちのライフプランに合った方法を選ぶことができないと、せっかく準備していたのに、来たるべきタイミングで使えないという事態となりかねません。

 

仮に、iDeCoに加入して教育資金を準備するというお考えであれば、ご自身が拠出金を受け取ることができる年齢と、お子様が教育費を必要とする年齢がマッチしているかをしっかり把握しておきましょう。もしタイミングが合わないということであれば、別の運用方法をおすすめします。積立NISA・貯蓄型保険など、ほかの選択肢を視野に入れて検討しましょう。

 

Aさん夫婦も、iDeCoは老後のために継続をしながら、積立NISAと貯蓄型保険を組み合わせた積立方法で教育資金の準備を始めました。それぞれの積立方法の特徴を抑えて、皆さんそれぞれのライフプランに合わせた積立方法を探していただきたいと思います。

 

<それぞれの資産形成手段の目的の代表例>

iDeCo:老後の資産形成

積立NISA、貯蓄型保険:中長期(教育資金から老後)

銀行預金:短期(生活防衛費)

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表