
共働きの30代夫婦が叶えた理想のマイホーム
5年前、千葉県内のとある新興住宅街に建つ真新しい一戸建てのリビングで、A夫婦はそう微笑み合っていました。夫のAさん(当時34歳)は都内の上場企業に勤めるサラリーマン。妻のBさん(当時33歳)は千葉市内の病院に勤める看護師。共働きで安定した収入があり、世帯年収はおよそ1,200万円です。
結婚3年目となったころ、30代前半だった2人は将来の子育てを見据え、住宅購入を本格的に検討しました。当時は低金利の後押しもあり、住宅ローンを組みやすいタイミング。
「賃貸に家賃を払うくらいなら、いっそ買ったほうがいいよね」
「子どもができたときのことも考えると、手狭になる前に……」
こうして2人は、千葉県内で住環境のいいエリアにある新築分譲住宅を購入しました。南向きで日当たりもよく、開放感のあるLDK、最新設備のシステムキッチン。「理想のマイホーム」そのものでした。
現実には少しずつズレが生じていき…
ところが、住みはじめて2年が過ぎたころ、2人のあいだでこんな会話が増えていきます。
「朝の通勤、ほんとつらくない?」
「夜勤明けで帰ってくるのに、駅から20分歩くのが地味にしんどいのよね……」
当初は「多少の不便は我慢できる」と思っていた条件が、生活のストレスとして少しずつ蓄積していったのです。さらに、第一子の妊娠をきっかけに、現実はより一層シビアに。
「保育園、空きがない……」
「この地域、思ったより子育て支援が少ないかも」
「車がないと生活できないのが、想像以上に不便」
特に妻のBさんは、仕事と子育ての両立に限界を感じていました。